多嚢胞性が妊娠しない原因でしょうか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

35歳です。結婚して5年経ちます。最初は自然に任せていました。生理は2ヶ月〜3ヶ月に1回程度です。前の病院で検査したら多嚢胞性卵巣と言われました。AMHは高く9位でした。卵管造影や精子は正常でした。クロミッドを半年使用していましたが妊娠しません。どうしたらよいでしょうか?

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

多嚢胞性により排卵が乱れ、無排卵で生理が起きている可能性もあります。

そのため排卵障害が一番の妊娠しない原因と考えてよいと思います。

そのため第一選択はクロミッドを用いますが、クロミッドは効かないこともあり、また内膜が薄くなることもあります。

そのため次の段階としては低容量でrFSF製剤を連日用いて卵胞を育てていきます。大体はこの方法で1〜2個の卵子が排卵し内膜も薄くならず妊娠につながることになります。

 

ただもう一つ考えるべき点として、30歳から妊娠をトライしても結果が出ないということは卵子と精子がうまく出会っていないことも考えられます。低容量rFSF製剤を用いても結果が出ない場合には腹腔鏡検査を行い卵管周囲の癒着などを確認することはお勧めします。

 

この際にドリリングと言って卵巣表面に多数の小孔を開け排卵しやすくすることも同時にお勧めします。ドリリングはかなり効果的な治療方法です。

 

これら一連の治療を行っても妊娠しない場合には体外受精を選択することになります。

多嚢胞性の場合卵子の質が余り良くないケースがあり受精しても胚発生が停止してしまうことがあります。

これに対しては排卵誘発を行い多数(15〜20個)の卵胞を育てそれらの中で育ってくる良好胚を選別してピンポイントで移植することが良いかと思います。