多前核胚ができる場合にはステロイドの投与で対応する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

正常受精は精子由来の核と卵子由来の核が一つずつ中央に揃う2PNです。これが見えると正常な受精と判断されその後の培養を続けます。

 

多前核とは前核が3個、4個、5個と多く認める現象です。

体外受精の場合には多精子受精と言って複数の精子が卵子に入り多前核になることがあります。

 

一方、通常顕微授精の場合精子は1つしか入れないため2前核にしかなりません。


しかし顕微授精をしても多前核ができてしまう方がいます。しかも前核が7個、8個と非常に多くなります。


これらの症例に対してどの様に対処すれば良いかですが、いくつかの方法があり当院では以下の方法で対応しています。

 

①正常の受精が起きていないため、カルシウムイオノフォアで受精をアシストする方法。

 

②排卵誘発をしっかりと行い分母を多くしてある程度の異常胚は覚悟し残ってくる正常胚を作る。

 

③治療周期の生理中から採卵前日までステロイド製剤(プレドニゾロン)を内服する。