低受精率およびPCOSはどうすれば良いか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

20代後半です。男性不妊が原因で、3回顕微受精をしました。3回目にはカルシウムイオノフォアを利用したものの、採卵で20個とれたものの受精したのは7個、で良好胚が少ししかできませんでした。カルシウムイオノフォアも用いています。医師からはPCOSといわれています。改善策はありますでしょうか?

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

受精障害に対してはカルシウムイオノフォアを用いることは良い方法です。

また受精率を上げるためにピエゾICSIも用いるべきです。

以下の記事も参考にしてください。

顕微授精でも受精しないのはどうしてか?またどうしたら良いか?

 

PCOSに関してですが、PCOSは刺激をして卵胞の発育が良く、採卵数も増えます。

20個〜30個採れることも良くあります。
ただ実際には卵胞数の割に採卵率が低く、未熟卵も多く、受精しても発生が悪く、採卵数の割には胚盤胞まで発育しません。
また、OHSSの副作用も起きる可能性があるため、余りにも刺激を増やしすぎると危険になるため、その観点でも難しくなります。
 
アンタゴニス法が調節性に富み副作用も少ないため第一選択肢です。
未熟卵が多い場合には卵胞のサイズを少し大きめに育てて、トリガーをHCGにしてトリガーの時間をあえて2時間程度早めにします。
 
OHSS予防と良好卵子獲得のためフェマーラを併用することもお勧めです。 
 
採卵数が多いため期待値も高くなりそのギャップが辛くなりますが、しっかりと対応すれば良い胚盤胞が出来てきます。分母を増やす事が1つの解決策になることもあります。
 
検査結果見ながら症例ごとに微調整する必要があり、とにかく細かく見ていく事が大切かと思います。
 
過去にも記事にしていますので宜しければ参考にして下さい。