体外受精させた受精卵を元に遺伝病を調べる着床前診断について、日本産科婦人科学会(日産婦)は8月31日の理事会で、日常生活に影響があるものの命に関わることはまれな遺伝病も診断の対象にするか議論する方針を正式に決めた。「命の選別」につながりかねない着床前診断の対象を広げることには慎重な意見が根強いことから、他学会や一般の人も含めて公開で議論を進めるという。
着床前診断は、遺伝性の病気などを受精卵の段階で知ることができるが、病気や障害のある人の排除につながるという批判もある。これまでは命に関わる遺伝病に限り、日産婦が一例ずつ診断の可否を審査してきた。だが、命に関わることがまれな病気でも、日常生活に大きな影響があるとして申請が出されるようになり、対応を検討していた。
今後、日産婦だけで審査を続けていくことが適切かも含め、関係学会のほか、倫理や法律の専門家、患者や一般の人らも交えて話し合う。法整備などが必要という結論に至った場合は、国に要望するという