胚盤胞が成長するのを妨げている死滅した細胞を取り除くと | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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タイムラプスで胚盤胞の成長を観察していると胚盤胞の細胞の一部が死滅しても残りの胚盤胞がそれをつぶしながら拡張して育っていく様子が見れます。

 

その一方で、死滅する細胞の割合が多いと元気が良い胚盤胞が邪魔されて拡張できなくなり力尽きるかと思われる様子も見て取れます。


この現象をどうとらえるかですが、例えば病気になっても正常な部分が多い場合にはリカバーして成長を続けていけるのですが、病気が進行してしまうと、リカバーが効かなくなり元気な細胞も死滅してしまう、そのようにもとらえられます。

 

1つの推測としてこれら死滅してしまう細胞群が元気な胚盤胞を阻害していることも考えられ、もし死滅している細胞群を取り除くことが出来れば良い結果になるか、それともやはり取り除くことでも変わらないのか、この辺りをどのように対処していくかはとても興味ふかい事だと思います。


これに関しては今年の受精着床学会でも演題が出ていて、取り除く事が有効である可能性があるとの発表でした。

今後の更なる検討が必要な事だと思いますが、試してみる価値はあるのかと思います。