がんがあると卵巣の反応や採卵数などに影響するか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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悪性の腫瘍があると卵巣の反応性や採卵数などに影響するか?と言う論文がありましたので紹介します。

過去には悪性の腫瘍があると妊孕性に影響するかとの報告などあります。男性が悪性腫瘍を患うと精子にも悪い影響を与えるとの報告もあります。

今回は女性の悪性腫瘍が卵巣の反応性や得られる卵子の状態に影響するかを調べています。
過去の10の文献を調べて年齢、投与量、刺激日数などを調べてメタアナリシスを施行しています。

この表はがんがある場合と無い場合でのメタアナリシスでのフォレストプロットです。
A総採卵数、B成熟卵子数、C受精数、D前核期胚数を見ています。少し左の方に動いています(がんがあると悪そうに見えますが)が統計的には有意差はありません。つまりがんがあっても卵巣の反応性に差はないと言えます。

この下の表はがんの中でも乳がんに絞って比較しているフォレストプロットです。
A総採卵数、B成熟卵子数共に差は無いとしています。つまり乳がんがあっても卵巣の反応性には差は無いとなります。


この結果から言える事として
悪性腫瘍があっても卵巣の反応性や得られる卵子の数、受精数には有意差はないと言えます。

Fertility and Sterility VOL. 110 NO. 7 / DECEMBER 2018
The impact of malignancy on response to ovarian stimulation for fertility preservation: a meta-analysis