生理中に見ないといけない事 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

先月採卵して今月移植を予定しています。生理中にエコーを見なくても移植周期に入っても問題ないのでしょうか?医師は採血が問題ないため移植に入るのは大丈夫とのことでした。私は採卵後のため卵巣の腫れなど不安なのですが、実際のところいかがなのでしょうか。

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

生理中にエコー検査とホルモン検査を行い異常がないことを確認して移植に入ることは必ず行うべきことです。

ホルモン検査だけでもある程度の異常は判断できます。

ただホルモン検査だけでは本当に異常がないかは判断できません。エコーとホルモン採血の結果を合わせて初めて移植に入れるかどうかの正しい判断ができます。

 

具体的にエコーでどのようなことを見ているかですが、子宮に対しては子宮内膜が薄くなっており、内腔に問題(ポリープや粘膜下筋腫など)が無い事を確認します。

出血して生理だと思っても実は生理ではないこともあります。

 

卵巣に対しては卵巣に腫れがないかを確認します。ここで卵巣の腫れを見ておかないと、卵胞が育ってきた際に卵胞と腫れの見分けがつきにくくなります。フェマーラやレトロゾールを使う場合にはE2が上がらないため本当に卵胞かどうか見分けがつかなくなります。


また卵巣が腫れている際に無理に移植に入ることは妊娠率の低下や、その後OHSSになることもあり得ます。

 

卵管水腫がないかも確認します。卵管水腫は妊娠率が極度に低下するためもし卵管水腫がある場合には移植を中止して腹腔鏡手術をしなければいけないケースとなります。今まで卵管水腫がなかったとしても急に見えてくることもあります。


また、いつもよりAFが見える場合には移植ではなく採卵に切り替えるケースもあります。

 

移植は万全の体制をもって行うべきであり、不安な所見がある場合には避けるべきです。

いずれにしても生理中のエコー検査は必須と考えてよいと思います。