ゴールは妊娠か? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

大きい子宮筋腫がある場合、採卵して胚移植を行う事で妊娠できるのでしょうか?

検査の結果、恐らく妊娠には影響しないと言われましたが、それでもオペをして筋腫を取るべきでしょうか?


このようなご質問がありましたのでお答えします。


大きい子宮筋腫がある場合、妊娠に影響するかどうかは筋腫がどの程度子宮の内腔に近いか、子宮内膜 に接しているか、内腔に突出しているか、この点が大切になります。

これを鑑別するためには子宮鏡検査やMRIをとることでかなり鑑別できます。

シネMRI が特に有効となります。

検査の結果着床に影響していると判断できればオペを行う事をお勧めします。



ここでもう一つ大きな問題があります。

「妊娠できるからとらなくても良いか?」という点です。


あくまで着床や妊娠はスタート地点であり、そこから流産することなく10か月間育てていかなければなりません。

妊娠したからあとは関係ない、ではすまされません。

大きい子宮筋腫がある場合、流産や早産のリスクがかなり高くなります。


また出産の際にも、安全に分娩をして、かつ子宮を温存しなければいけません。

無事に生まれたけれど出血多量で子宮を摘出した、という事になってはいけません。

大きい子宮筋腫がある場合、弛緩出血になったりかなりリスクが高くなります。


そこまで考え、オペをするかどうか真剣に検討しなければいけません。

決して目の前の妊娠がゴールではありません。


流産、早産をすることなく、しっかりと出産をしてかつ子宮を温存することが本当のゴールになります。


宜しければこちらも参考にしてください。

子宮筋腫と不妊症