アンタゴニストの使用が早すぎたのでしょうか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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いつも卵胞の育ちが良くなく、アンタゴニストを開始すると、卵胞発育が伸びないため、前回の刺激でアンタゴニストの使用を少し遅くして欲しいとお願いしましたが、排卵のリスクがあるためと断られました。

結果として採卵の数は減り、胚盤胞まで育ちませんでした。やはりアンタゴニストの使用が早すぎたのでしょうか?

 

アンタゴニストの使用開始時期に関してこの様なご質問がありましたのでお答えします。

 

 

これはご質問の通りで、アンタゴニストの使用開始日が早すぎると、卵胞の発育に影響して多くの卵子が育ちにくくなります。

 

卵胞の大きさが14mmでアンタゴニストを開始する方法がありますが、その通りで行うと、ホルモン値によっては卵胞の発育がその後抑制されます。

 

例えば卵胞の大きさが14mmで、卵胞数が3個、E2が500でアンタゴニストを使用する事は早すぎます。翌日か、翌々日の開始でも十分間に合います。

 

卵胞の大きさが14mmからアンタゴニストを機械的に使う事は色々考えなくて良いため医師としては楽です。

また排卵もほとんど抑制できて安全ですが、これでは最適なアンタゴニストの使用方法とは言えません。

 

卵胞数、ホルモン値、卵胞径、年齢、過去の卵子の育ち方などをみて、LHが上がるぎりまでのタイミングでアンタゴニストを開始することが良好な卵子を多数育てるポイントになります。

この際P4の値が低いかどうかがその判断の助けになります。P4が低い場合にはLHが少し上がっても気にせず刺激できます。

 

アンタゴニストはブレーキのため数多く採卵するためにはなるべき使わないに越したことはありません。最後の最後で1回程度使うことが最善策です。例えるなら第4コーナーをブレーキをかけず全力で回るイメージです。

 

恐れず最適なタイミングまで待つ事、これが最大のポイントです。