流産率が全国平均よりも低くなっていますが、その理由はどうしてでしょうか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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治療説明会で、「流産率が全国平均よりも低くなっていますが、その理由はどうしてでしょうか?」というご質問がありました。

 

当院の流産率はHPにも掲載していますが、日本産婦人科学会が出している全国平均のデータと比較すると全ての年齢で低くなっています。

 

この流産率が低い原因がどこにあるかを検討しましたが、刺激方法、採卵方法、培養方法、胚の評価、凍結方法、移植方法、ホルモン補充方法など複合的な要因が多数あり、それら全てが関係しているため一概にこれとは言えない事ですが、そのうちの一つの理由として胚盤胞の選別があると思います。

 

どこの施設でも胚盤胞はグレードをつけて凍結対象になるか施設の基準に基づき判断しています。当院の場合形態不良であるCCの胚盤胞は凍結の対象としていないため凍結対象はBCやCB以上となります。なお、この判断は施設により異なります。

 

当院で不良な胚盤胞を凍結しない理由としては、妊娠する可能性が極めて低い事と、妊娠したとしてもほぼ全例流産するためです。そのためこのような胚を凍結して移植に用いる事が適切ではないと考えており、その結果として流産率が低くなる一因になるのかと考えています。