ビタミンD欠乏と男性不妊の関連は 流産も増える | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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女性のビタミンDと生殖医療に関しては多数の論文が出ています。

しかし男性不妊とビタミンDに関してはそれほど多くの論文は出ていません。

来月号のFertility and Serilityに掲載される予定の論文にこれに関してデータが出ていましたので以下紹介します。

精子の所見とビタミンDは相関しないとなっています。つまりビタミンDが低くても精液所見には影響を与えないのかと述べられています。

この下の表は男性のビタミンD濃度と出産率や流産率を調べています。

流産率が高くなることが示されていて興味深い結果と言えます。

男性のビタミンDが20未満と20以上において流産率は62.5% vs 12.9%(有意差あり)

 

この結果から言えることとして

男性のビタミンDの欠乏は精液所見やDNAの断片化に悪い影響を与えることはありません。

男性のビタミンDが欠乏しているカップルにおいて体外受精での成績が悪いということはならないと思います。ただ今回の結果から男性のビタミンDが欠乏していると流産率が上がることは示されており、今後大規模な検討が必要だと思われます。

 

Fertility and Sterility® Vol. -, No. -, - 2021

Male vitamin D status and male factor infertility