子宮鏡下癒着除去術後の出産率の影響する因子は以下の三つ | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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アッシャーマン症候群はかなり難治性で一度かかると妊娠がしにくくなります。

今回アッシャーマンと診断された患者さんが、子宮鏡下での癒着除去術を受けた後の生児出生率(LBR)が41.0%であることを示してる論文がありましたので論文の要点を紹介します。

オペをした後のLBRは、以下の3つの要因に強く影響されます。

 

①術後の月経量の増加:術後に月経量が増加するとLBRも高くなります。

②術後の子宮内膜厚さ:黄体期中期での子宮内膜の厚さが6 mmを超えるとLBRは高くなります。

③術後子宮鏡での癒着が再発している程度:癒着の再発がないか最小限であるとLBRは高くなります。

 

これらの3つの要因すべてが良好な場合、LBRは69.0%まで上昇しますが、これらの要因がすべて欠けていると生児出生は見られませんでした。

 

つまり子宮鏡下癒着除去術後に産まれるかどうかは、術後の月経量の増加、子宮内膜の厚さ、そして癒着再発の程度に依存していると考えられます。

 

 

Fertil Steril® Vol. 121, No. 5, May 2024

A retrospective cohort study to examine factors affecting live birth after hysteroscopic treatment of intrauterine adhesions