顕微授精は出産率が上がることはない 今月号の論文から | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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顕微授精を選ぶケースが多くなっており問題視されています。特に男性因子がないにも関わらず高齢だから、不安だからと顕微授精を選ぶことは根拠がないと多数指摘されています。

今月号の論文ではまさにそこを調べており大規模なデータのため参考になると思われます。

 

男性因子が無い場合体外受精と顕微授精のPGT-Aの結果と出産率を調べています。

男性因子が無い場合のPGTを受けた30,446のサイクルが調査され、その中で4,867がIVF、25,579がICSIでした。

正常胚の割合においてIVFとICSI間で有意な差は認めらませんでした(それぞれ41.6%対42.5%)。

出産率も同様に差はありませんでした(それぞれ50.1%対50.8%)

 

結論:男性因子が無い場合、IVFとICSIの間で正常胚の割合や出産率に有意な差は認められませんでした。

この論文の言いたいこと

男性因子が無い不妊において、PGTを行う体外受精と顕微授精の間で、移植に適した胚の割合や出産率に有意差がないということです。つまり通常のふりかけと顕微授精のどちらを選択しても妊娠に至る成績に大きな違いはないということを示しています。

結論として男性不妊がない場合顕微授精を選ぶメリットは全然無く、費用の無駄であり、迷わずふりかけを選ぶべきと言えます。

 

Fertility and Sterility® Vol. 121, No. 5, May 2024 

Comparison of outcomes between intracytoplasmic sperm injection and in vitro fertilization inseminations with preimplantation genetic testing for aneuploidy, analysis of Society for Assisted Reproductive Technology Clinic Outcome Reporting System data