青くんの部屋

青くんの部屋

ここはサトシック、アラシックのお部屋です。
【★取り扱い説明書】をご確認の上、入室ください。

お話紹介。

「あらし物語」 とにかく智くんがモテモテでメンバーにおそわれます。
「ツンデレくん」 やまのラブラブなお話で、翔くんがおバカです。
「☆織女星&牽牛星」 宇宙人と、宇宙人地球人ハーフの恋愛。
「☆綺羅星&紗良星」 上の二人の子供たちのお話。
「原罪」 天界人だった嵐五人が人間界に転生したお話。SFふぁんたじー
「幸福の木」 大野智が哀しい目に合う暗くてラブラブなお話。
「応鐘の実」 幸福の木の登場人物の少年時代の話。
「Days」 大野智が潤くんとニノちゃんのどっちとくっ付いた方がいいか考えたくなるお話で、櫻井翔がモテモテの美人だっていうお話。

他…
やま、天然、大宮、いちご、短編集在り。



※ 入室の際は、必ず 「取り扱い説明書」 をお読み下さい。
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※ アメンバーについて…

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お母さんは死んだんだと思って生きてきた。

その事で、心の全てが哀しいに覆われてしまいそうになるのを、無理矢理よそへと追い遣るよう努めてきた。

小さかった和也。

兄である自分が守ってやるんだと歯を食いしばってきた。

それから…

それから、家には新しいお母さんがやってきて…

智くんが…

そして…

頭が混乱してどうしようもない。

座っている自分の膝に、ポタポタと何かが落ちていた。

 

 

<ごめんなさい。驚かせてしまったわね…。>

 

 

横山さんの…

いや、お母さんの本当に申し訳なさそうな声が聞こえてくる。

お母さんの声…

どうして、俺はそれに気が付かなかったんだろう…?

間違いなくお母さんの声だった。

そうだと分かった途端に聞き心地のよくなった声に、だが、以前は嫌悪感に似たものすら感じていた。

何かにつけいらだちを覚えたのは似ていたからだ。

今、改めてその事を自覚できた。

そっと情けなく涙を流す自分の顔を上げ、横にいる人を見やる。

儚く笑う顔は、間違いなくその人のモノだった。

 

間違いなく…

 

 

「本当に……お母さんなのか…。」

<そうよ。>

「はっ…。」

 

 

嬉しいに違いないのに、声が詰まって言葉にならなかった。

命を狙われているとか、それにしてもなぜ今なのかとか、納得できないモヤモヤはあったが、それ以上に信じられない奇跡が起こったことに感謝する。

 

 

「お母…さん。」

<はいっ…。>

「お母さんっ。」

<うん。>

「うっ…ぐじゅ…。」

 

 

俺はまるで小さな子どものように涙を流すのを、やめることが出来なくなっていた。

そして、それは母も同じようだった。

震える俺の肩を抱きしめてくる彼女の体も、漏れ出る声も、何もかもが俺と同じように震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気分が落ち着いた頃を見計らったように食事が運ばれてきたが、とても喉を通る心境にはなれないでいた。

お腹はすいていたが、気持ちが邪魔をしている様だった。

泣きすぎて瞼が重い。

落ち着いてきたころ、俺はようやく自分が親父を追いかけてきた理由を思い出していた。

だが、その話を、実の母の前で智くんの話を持ち出すことは、何となく憚れた。

母はむかし、その事実に激怒したはずだ。

ずっと分からなかった事故の直前の母の行動が、今やっと理解できた。

生きていたのに、もしかしたら父が結婚してしまっていて、頼れなくなったのかもしれない。

再婚の事で怒ったかも…

両親の過去の熱愛ぶりを思い出す。

今の二人の雰囲気もなかなか良さそうだった。

やっぱり話は後日改めよう。

 

 

<翔…?>

「え…?」

<食べないの…?>

「ああ…ちょっと胸がいっぱいで…。」

<それでも食べれるときに食べておいた方がいいわ。>

 

 

そう言いながら、母の前に置かれた料理も減っていなかった。

 

 

「母さんこそ…。」

<私は、食べられると思ったんだけど、今、ちょっと無理なの…。>

 

 

そう言って何やら恥ずかしそうに頬を染める。

息子との再会に胸がいっぱいで喉を通らないという事だろうか…?

だが、なんだかそんな様子は母には似合わない気がした。

母には何があろうと食欲は別と言ったイメージが俺にはあった。

そんな彼女が食事がダメだったのは一度だけだ。

 

確か…

 

 

『好きな和食なら大丈夫かと思ったんだがな…

食べられないなら無理はしなくていい。』

<ごめんなさい。>

 

 

父が優しく声をかけると、母は申し訳なさそうにそう謝っていた。