中ニから卒業するまでの私の同級生の中に、
「チエオ」
と呼ばれていた男の子がいた。
体も頭も大きかった彼の心は同じ年頃の子と比べると幼かったし、学校の成績も常に最下位だった。
今は知的障害者と呼ばれている彼のような人のことを昔は「知恵遅れ」と言っていた。
同じクラスの子たちは「知恵遅れ」だから彼のことを「チエオ」と呼んでいたのである。
私はどうしても彼のことを「チエオ」とは呼びたくなくて「F君」と名字で呼んでいた。
当時、私が通っていた中学には普通学級しかなく、授業中おとなしく席についていられないような子は養護学校へ行くしかなかった。
けれど、F君は授業中おとなしく席についていられたし、性格も優しく穏やかでまわりに迷惑をかけることのない子だったため普通学級しかない中学へ通うことを学校側は受け入れていた。
ただし、F君がいるとクラスの平均点が下がるため、クラスの平均点のバランスをとるために二年生になる時に行われたクラス替えではF君と同じクラスには成績優秀な生徒を多めに割り振るという配慮がなされた。
そのため、他のクラスと比べると、勉強も運動も両方できる運動部の部長や、成績優秀な生徒会役員、親が教師という子がやたらと多いクラスになっていた。
F君は自分がみんなに「チエオ」と呼ばれる意味すら理解できないくらい頭も心も幼い子供だった。
からかわれていることもわからないでみんなにかまってもらえてうれしそうにしていた。
それを目にする度に感じた私と同じ怒りや憤りはF君が感じることはたぶんなかっただろう。
彼は大きな天使で幸福な子供だった。
あの邪気の無さや人の悪意といったものを理解することのない心の清さは神様から授けられた宝物だと私は思った。
お勉強ができないとか、人より物覚えが悪いとか、心の年齢が同年代の子と比べると幼いといったことが「障害」と呼ばれる彼は人の悪意というものを知らなかったんじゃないかと思う。
普通なら「いじめ」と本人が感じるようなことを言われたりされたりしても彼は笑っていた。
いつもニコニコしていた。
私は彼のことを「チエオ」と呼んでいつもからかっていた男子たちに何度も抗議した。
けれども、いじめ被害者本人であるF君だけがいじめと認識できていないその言動をやめさせることはできなかった。
それどころかタチの悪いからかいは私にまで波及した。続きはこちらからどうぞ
にほんブログ村
【12月15日追記】
アメブロでの小説作品公開は期間限定ですると決めていたので、小説全文の期間限定公開を終了させていただきました。
※この小説作品は、以前、ショートストーリー集「女心のガイドブック」というタイトルで販売された菊池乱の電子書籍に収録されていた小説の改訂版です。わかりやすくするために電子書籍の検閲で使えなかった表現で書き直しました。
私が中学生の時の話でほとんどノンフィクションです。
書籍として出版しようとしても、紙も電子もたぶん出版社の検閲でまた「知恵遅れ」という言葉は使うことを許してもらえないと思うのでこの作品はマガブロで公開することにしました。
不本意な訂正要求されて伝えたいことを伝えられなくなるくらいなら書籍化などせずにブログで公開していく方がいい！というのが私の考え方です。
昔の話ですが、身体障害者や障害者という言葉は使えても、「精神障害者」という言葉は使えないようにNGワード設定していた小説サイト「おりおん☆」には私は精神障害者当事者として抗議メールを送りました。
結果、NGワード設定の解除はされましたが、「精神障害者は『障害者』の中でも最底辺のあつかいなんだな…」と感じました。
障害者の中でも心のバリアフリーから弾かれている存在が「精神障害者」なんですよ。
視覚障害や身体障害だと、就職や再就職のためにパソコンを無料で習える講座とかがあったりするし障害者枠での就職先もあるのに、精神障害者にはそういった助けはなく、自分でお金払ってパソコン教室通うしかありません。
いろいろ教わりたいことはあるのだけれども、私は今は金銭的に余裕のない状態なので覚えたいと思っているZoomやチャットGPTの使い方とかもわからないので困っています。Zoom会議参加できません
うつ病でも障害者手帳の取得はせずに一般企業で正社員で働いていた私の親戚も何年も働いていた会社に簡単にクビにされました。
心身不調で休まなければならない時にはちゃんと会社に病院の診断書も提出していたのに休んでいる間は社会保険切られました。普通はうつ病で傷病手当もらって療養できるはずなのに！労働基準監督署にこのことがバレたら間違いなく会社に行政指導入るレベルの悪質な行為を経営側はしていたのに親戚それも黙っていました。
早く言ってくれてたらクビになる前に傷病手当のこととか教えたのに！
本人が望んでないなら外野がタレコミするわけにもいきませんが、正直言ってかなり胸くそ悪いですわ
不動産屋のアパマンに「精神障害者」であることを理由に私が賃貸アパートのお部屋の紹介を断られ門前払いにされた時よりも親戚の不当解雇等の件についてはムカついています
（←精神障害者の人は「自宅からは遠くて通うのが難しいため通院のために病院の近くに引っ越したい」とか精神障害があることを正直に言わずに、不動産屋には「資格取得のための学校へ通いたいため」とか他の理由で部屋探ししていると言った方がいいです）
