「ノルウェイの森」(トラン・アン・ユン監督/2010) | 『Go ahead,Make my day ! 』

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まあ、物語的にはネタバレがどうこう言う作品じゃありませんが、一応注意ということでよろしくお願いします。公式サイトはこちら


 
・・・「ノルウェイの森」ってこんな話だったっけ?

映画を見ていてそんなことを思ってしまいましたがwww

冗談はさておき、映画の感想ですが、まあ、良かったのではないかと。
原作が持っている雰囲気とか1969年前後の時代性を非常によく再現していましたし、映像の美しさ(特に風景の使い方が秀逸!)や音楽の迫力は素晴らしいの一言です。この辺はさすが外国人監督だなと思いますね。日本人監督だとどうしてもカメラワークがせせこましいというか、ここまで大胆ではないので。何故かは分かりませんが。
原作つきの映画でよく味わうことになるがっかり感はまったくなかったです。

が。

えー、実はわたし、最初は

「なんつーか、実はこれ、原作読んでない方が先入観なくていいんじゃねーかなー」

と思っていたのですが、ところがどっこい。おそらく原作読んでないと意味分からないんじゃないでしょうか。

というのも、出だしで恐ろしいくらいのエピソードのすっ飛ばしが続くのですよ。
全体(約130分)のうち、最初の20分程度で、原作に即して言うと上巻の2/3くらいまで来てしまうのですよ。まあ、近年の村上春樹作品に比べれば短いとは言え、がっつり上下巻な訳で、エピソードのすべてを拾い上げることは不可能なのは分かりますが・・・。

うーむ。これは「原作読んでない奴が映画なんか観に来ねーよ!」という制作側の開き直りなのでしょうか・・・。

それと、気になったのはエピソードのバランス。
というか、二人のヒロインであるナオコとミドリ(原作は漢字表記ですが、何故か映画では登場人物は皆カタカナ表記)の扱いのバランスがえらくナオコに傾いているような気がするんですよね。

原作「ノルウェイの森」の読者は大雑把に分けて「ナオコに共感する人」「ミドリに共感する人」に分けられると思うのですが、まあ、これはぶっちゃけた話、監督がナオコ派なんでしょう。

個人的にはミドリ派なので、そこら辺はちょっと不満ですwww

あと、キャスティングについて。
率直なところ、松山ケンイチはかなりアリです。セリフ回しがちょいと「?」なところがありますが、ワタナベといういかにも村上作品らしいキャラクターを非常にうまく再現しています。おそらく、他の役者では無理だったでしょうね。やたら上半身裸とか白いブリーフ姿が出てくるのは個人的にどうかと思いますが。
松ケンファンはこの映画、観るべしwww

問題は二人のヒロインですが、えー、菊池凛子は演技に関してはさすがと言わざるを得ませんな。顔がアップに耐えられるかどうかは別にしてwww
水原希子(新人さんだそうですが)は・・・思ったほど大根ではなかったですが、次があるかどうかはかなり疑問かな。
(あと、映画的には良かったと思いますが、ミドリというキャラクターの原作とのイメージの乖離はかなりのものです。まるっきりツンデレ・・・)


結論。
ハルキストはとりあえず観るべし。そうでない方はDVDが出てからでもOK!