〜イギリス公式訪問から○年..〜


タンタンタン..

愛しい人の足音が近づいてくる..


「カン、後は午後の執務時間で聞く..」


「はい。陛下。失礼いたします。」


「カン!いや義兄さん..」


「えっ! あっ!はい、いえまだ勤務中でございます..」


「チャンミンと後でヨンハちゃんに会いに行く。姉上にも伝えてほしい。」


「はい。ありがとうございます。」

深々と頭を下げた皇帝付筆頭内官が辞していく..


ドアの外で愛しい人の声がする..

困っているカンの顔が容易に想像出来る..


ゆっくり歩いて、年に数回あるかないか自らにドアを開けた..


「あっ♡陛下..」

優雅にお辞儀をするチャンミンと、冷や汗のまま一歩下がり深々とお辞儀をするカン..


「チャンミン、カンをあまり困らすな..」


「いえ、陛下そんな事はけして..」


「陛下むかっ私はヨンハちゃんの様子を聞いただ..け..あん♡」

腕を取り無理矢理に執務室の中に押し込んだ.. 

ドア越しに頭を下げたままのカンが見えた..


閉まったドアの背にチャンミンを押し付けて唇を奪い深く口内を味わえば、抵抗するチャンミンの腕が背中に絡まる..


「ん..はぁ..」

チュッ..

わざとリップ音を立てて唇を離した..


唾液で艶めく唇は、昨晩の熱を思い出させる..


「ユ..ノ..ん..」

「チャンミン..カンと浮気をして私を待たせた罰だ..」


熱をあえて灯して体を離した..

「ユノ..違..私は..又ヨンハちゃんと少し離れてしまうから..だから..」


「ヨンハ、ヨンハ..と、気に入らないな..」

言ってから、チャンミンを離し執務用の椅子に腰掛け仕事をするふりをすれば、

小走りに付いてきたチャンミンが後ろから両腕を回してきて..


「パボ..私にはユノだけ..」

そう言って頬を膨らますチャンミン..

くるりと椅子ごと振り返りチャンミンを足の上に跨がせた..


「もう1度だ..」


すでに耳まで朱に染めた我が妻は..

「イ..ヤ..あとは夜..」


こんな小悪魔的な..


俺は執務室のベルを鳴らして..


「はい、陛下..」


「チェ尚宮..チャンミンが少し頭痛がするから休ませる。」


「かしこまりました。」


語尾にため息が聞こえそうだが、賢い我が宮の尚宮達にはこれで伝わるだろう..


「チャンミン!悪いが夜まで待てぬ..」


「えっ!あっ!いや..

今日は衣装合わせがこの後あります..陛下!ダメ..」  


「ユノだ..ハハハ..」

チャンミンを抱き上げ執務室奥..

元写真現像室を改装したプライベートスペースのベッドにチャンミンを..


.............................


心ザワつく俺を許してほしい..

あのイギリス公式訪問から○年..


姉上が退位して、俺が皇帝に..

チャンミンはいつもそばで俺を支え..国民を魅了し続けている..

ユルは皇嗣に..

そして、ユルの嫡子が皇位継承順位2位になった..


亡きイ ス叔父が成し得なかった皇帝を息子と孫が継ぐ..

これでファヨン様も安堵なさるだろう..


そして、俺はまだチャンミンには伝えていないが..

皇帝の座をあと少しでユルに譲るつもりだ..


現王族長であり、太皇太后様の兄でもある叔父には跡継ぎがいない..

俺はもう随分前から決めていた..

余生はあの..

思い出いっぱいのバラの邸宅、王族長邸でチャンミンと過ごしたいと..



ユルには時間をかけてブレない気持ちを伝えてきた.. 

ユルは、王族長として皇帝の公務を二分するならとやっと了承した..



叔父は、住まいをあの夏の離宮に移すらしい..

お祖母様もきっと一緒に行ってしまわれるだろう..

近く改装が始まる予定だ..


思い出の地はそのままに..

新たな風も、改革も出来たように思う..


姉上はカンと結婚して可愛い甥ヨンハも生まれた..


チェ尚宮は、尚宮の地位のまま韓国皇室歴史上初めて既婚者となった..

勿論、夫はユル付きの筆頭内官でありカンの右腕のイリ..



あとの皇室はユル皇帝とその子孫に任せようと思う..


それはすなわち俺とチャンミンの血筋が継いでいくことにもなる..


姉上とカン、チェ尚宮とイリの子供達も皇室を支えてくれるだろう..


チャンミンには言っていないが今回のイギリス訪問が皇帝として最後の海外公務になる..


最後の公務が、あのにっくき(笑) 

イギリス王室ジョージ王子の結婚式だとは..

光栄じゃないか..(笑)

ジョージ王子、やっとチャンミンを諦めたらしい..(笑)


チャンミンは、旧友の成婚に忙しく準備中だ..

俺とチャンミンの初公務で辿った地を又回ってくる予定だ..

イギリス政府にも正式に招待を受けた..

勿論留守中の皇帝代理はユル..

俺は、そのまま国民の支持があればユルに..

それでも構わない..


 

俺には皇帝の座も、きらびやかな宮殿生活もいならい..


チャンミンがいれば..


あとは何もいらない..


お祖父様.. 


チャンミンのお祖父様と今幸せですか?..


チャンミンと引き合わせてくれてありがとうございます..


お祖父様達が引き合わせてくれたただ1人命よりも大事な人..


天寿を全うするまでチャンミンを愛し抜く事を誓います..


チャンミン..

チャンミン..


サラゲ..


生涯をかけて愛す人はチャンミン唯一人..



今はゆっくりお休み..


もうすぐ、カンに起こされるだろ..


それまでは..


ゆっくりお休み..

俺の腕の中で..



     〜宮・完〜



王冠1長い間、ジミニーの『宮』を愛でて頂きありがとうございました。

ジミニーが思い描いていた宮のエンディングです..

途中のたくさんのエピソード割愛お許し下さいませ..

ありがとうございましたm(_ _)m

           宝石赤ジミニー宝石赤



 

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