また夢を見た


それを何度も思い出し


あれこれと考えて見ても


答えは、出ない





ようやくテルマエを観た


アベさんは昔から好きな役者さんだ


なんせ、あの脛毛!(そこ?!)

濃い感じも大好きだ


もうね、デカいって時点で

頭ひとつ出てる

声も勿論素晴らしい


あの腕

あの長い指

あのゴツゴツとした男性的な手を観て



思い出した人が、いた




女友達と飲みに行った先で

トイレ前の通路で出会った人は

背が高く、顔が濃く、良い声だった


通路は狭く

彼は身を引き

「どうぞ」と私に道を譲った


今はどうか知らないが

当時はこのトイレ前というのが

何気に出会いの場であったような気がする


互いに男同士、女同士で来ている者達が

ここで意気投合して連絡先を交換したりする


促された私はお礼を言ってトイレに入ったのだけれど

出て来てもまだ彼はそこにいた


「あの・・・あそこのテーブルで飲んでる人ですよね?」


指差した先には、恋愛に少々お転婆な女友達が2人

流行りの服を着て座っている


「そうですが・・・」


「俺はあっち。あそこの席で飲んでるんですよ。お互い3人だし、良かったら一緒に飲みませんか?」


つまり

ナンパだ


別に珍しいことじゃない

男前だったし、あいつらも喜ぶに違いない


そんな気持ちで了解した


予想通り

女友達は喜んで

瞬時にお目当てを見付けると

まるで以前から知っていたように自然にお喋りを始めた


私の隣に座った人は

先ほどトイレ前で声を掛けて来た彼で

私の好みから言えば

ドストライク

ひと時共に飲む相手としては申し分なかった


よく聞く商社に勤めていた彼らは

このようなことに慣れているのだろう

洗練されていて、女に慣れていた


私達も少女じゃないから

別にそれはそれで、いい


「やったね、冴子!アンタの好みじゃん」

女友達のひとりが

そんなことを耳打ちした


アンタはもう、テーブルの下で指を絡め合っているのを知ってるよ

このバイタがっ!!


次回は彼がベッドでどんなだったのかを聞くことになるのかと

容易に想像出来た


尻軽女共め!めっ!!


ハンターは男性じゃ、ない


女の方が余程えげつない


そこへ

「さっき君を誘うのに緊張しちゃってトイレに行きそびれた」と

言った彼が席を立った


ガタイが良くて

声が良くて

対応紳士で

慣れてるそれは

恋愛ゲームに向いている


寝れば始まるものも

あるのかも知れない


だけど


戻って来た彼の手を見て


汚いって

思ってしまったんだ


彼の左手薬指には

結婚指輪があった


店で女をナンパする男が

それを隠さないこともあっぱれだと思うが


私が一番引いたのは

既婚者であるということではなく


その指輪に石鹸がこびり付いていたのを

見たからだ


それほど紳士で、高そうなスーツに身を包み

多くのインテリジェンスなボキャブラリーと

大人の余裕を醸し出しながら


結婚指輪に付くその白い石鹸は

彼の自宅での立場を感じさせた


途端に、生活感を感じたのだ



厄介だなぁ・・・



勿論私が彼と会うことは2度となかった



その指に私は魅力を感じない


それよか

何故だか知らないうちに

こっちがダメージ受けちゃってる



男性が「スマート」を演出するのは大変だね



そんなことしなくても

女の心を掴む術は

幾らでもあるのに




そんなことをしなくても

男性の心を掴む術は

幾らでもあるかしら?





ケツに煩い男性の心を掴むのは

簡単ではないようだ








問題は、そこじゃ、ない