職場の軒下に作られたツバメの巣が落ちた
昨日の雨の湿気に耐えられなかったのかも知れない

ある時、突然、ポトリと
落ちた

中には4羽のヒナが、いた



巣から落ちたひな鳥は、決して自分を憐れんだりしない



これはかなり以前に映画の中で
でみ・むーあが言ったセリフだ

どんなに辛い状況でも
自分を憐れむのはナンセンス
小さなひな鳥でさえしないことを
自分がする訳にはいかないと
プライドを保つ


私の好きな言葉だ



だけど
今日、実際に落ちたひな鳥を見て

確かにひな鳥達は、ピヨピヨと鳴くばかりだが

親鳥の慌てようといったら!!

じぶり辺りで制作するとしたら
山ちゃんらへんが声を当てて
こんな感じだ

「ああー!!!うちの子がっ!!うちの子がー!!!!」
「なんてことだ!まだ巣立ちも出来ていないのにっ!!」
「どうしたらいいんだ?!どうしたらいいんだー?!」


ぐるんぐるんと飛び回り
パニくっている


本当はそんなことを考えているかは謎だが

本能的に巣が落下すれば
圧倒的にヒナの命の危機だということを知っているように見える



猫でも通り掛かれば
完全にお終い、だ



自然界を生き抜いてきた鳥のことだ

もしかしたら落ちた命は早々に諦め
また別の卵を産むのかも知れない
越冬する時期から考えても
ツバメは何度か産卵するから


だけど親鳥達は、代わる代わるやって来て
落ちたひな鳥にエサを運んでいる

何だか、切ない



ヒナが自分を憐れんでいるとは思わないが
親鳥達は人のように自分の子供達を憐れんでいる


そう見えた




そう見えたのは
ただの本能かも知れない

子孫を残す本能
でも


某ちゃんねるのスレより
幾分、温かい



上で述べた私の好きな文章で検索を掛けたら

あのちゃんねるの自殺志願者のスレが出て来た

練炭を用意した
睡眠薬ならある
一緒にどうですか?
逝ってらっしゃい



人間って
馬鹿なのか利口なのか


私には全くもって恥ずかしい
あのひな鳥と親鳥に
全くもって、恥ずかしい



生きるのは、生まれたからだ
辛いとか、苦しいとか
そんなことであれこれ言うのは人間だけだ


また
自分で死を選ぶなど
そんな贅沢かつ我儘な決断
やってのけるのも人間だけだ


図々しいにも、程がある


ひな鳥の命も
私達の命も
命の重みに変わりは、ない


もしも
あの小さな体に「精神」が宿っているとするなら
私達よりずっと高貴で崇高なものだと思う


余計なことを排除して
本能で生きることは

この世に生まれた者の使命であるような気がする



それをいらん知恵ばかり付けて
贅沢なものの恩恵を受けているのに
尚も苦痛を口にする

自分を憐れんで
何て不幸なんだと嘆く

他者を羨み
他者の物を妬み
卑屈になる



馬鹿みたい



みんなツバメになったらいいのに



落ちたあの家族は今頃きっと

どうやって巣を再生するか

ひな鳥をどうするか、を考えている



自ら絶望して死のうとは
絶対に考えない



貪欲な生命









これが
私達の中にもあるのに