この数日

新しく知り合った方と毎日メールをしているのですけれど


どうにも楽しくなく

発展性があるとも思えない


とてもいい方です

だけど、ダメなのです


こういうことを繰り返す度に


私はもう二度と

恋愛が出来ないのではないかと

感じます



誰を見ても

素敵だと思えない


自分の時間や将来を託しても良いとは思えない


ほんの一晩

お食事をすることさえ


意味のないように思える




そんなことをするくらいなら

兄さんの声を聴いていたいのです


そんな暇があるなら

兄さんの事を考えていたいのです



ああ



もう、

終わってね??







グーグルの実写地図を何時間も見ていた


始めは昔行ったラーメン屋を探していたのですけれど


そのうち

過去に住んでいた家を見たり

駅から続く岐路を追ったりした


何十回何百回と通った道ですもの


あそこで転んで膝を擦り剥いただとか

あそこでナンパされてついて行ったのが運のつき、だとか

あの店の定食は旨かった、今もやってるんだ、とか

あそこは良く親と行ったなぁ、とか


5歳から19歳まで過ごした故郷の町を

まるで実際に歩いているように見れるなんて

ちょっと、

切なくなった



また

自宅付近とは別の思い出の場所


海外なんかにも簡単に行けちゃうのが

あのシステムの凄いところ


ロンドンの駅前のマックで楽しい店員さんに出会ったこと

ピカデリーストリートで彼と会ったこと

地下鉄の路上演奏家が私にウィンクして、つい多く彼のハットにお金を入れてしまったこと


行かなければ多分

思い出すこともなかったことを


その映像を見れば思い出す



忘れていたことばかりだ



それを実感する




あの人達は今頃

どうしているのだろう?




地図を眺めながら

ふと、そんなことを考えた




魚政のお兄さんはそろそろお嫁さんでも貰ったろうか?

黄龍のご主人は今も来店したお子さんにあのガムを渡しているのだろうか?

ひさごの店長は私のことなどすっかり忘れ、今もどこぞのホステスに入れあげているのだろうか?

ピカデリーストリートのエドワードはまだ勤めているかしら?

3番街のママはまだスコーンを焼いている?



「ああ、あんたが女を連れて来るなんて初めてだね。恋人かい?」

早口のイギリス訛り


「ああ、そうだよ。僕の恋人だ。彼女はスコーンが初めてなんだ。おいしいとこ頼むよ」


「分かったよ。ところで御嬢さん、何で恋人をいつまでも一人にしてるのさ?彼は毎朝、ここにスコーンを買いに来るんだよ。何なら、焼き方教えてやろうか?」



私は焼き方を教わった



彼と会えるのは


それが最後だと知っていたけれど



夢のようなことが

起きるのではないかと


どこかで期待していたから






私は日本に帰国して美容師になり



彼はあちらで事業を成功させた






だけど

彼が私の焼いたスコーンを食べることは一度もなかった







そんな色々を


ただ地図を見ただけで


思い出した




















感傷的になるのが

大人の厄介なところ、だ