家族がインフルエンザになって、どこにも行けない

立ててた予定もすっ飛んだ


仕方なく近所のスーパーマーケットに行けば

ピンクなもの多し

赤と白のはんぺんにピンクのワンタン、ちらし寿司のもと

桃のジュース、苺のケーキ

ああ、そういう時期だもんねぇ


匂いに誘われて買っちゃった、苺。。



楽しむ筈の週末が

特に楽しくもないので

仕事のこと、書きます






皆さんは、どうかは知らないが

私は新しい職場に勤めた時

その場所で、自分がどういう風に見られ

周りの人達にとって、どういうポジションでいるべきかを

まず最初に計画立てる


これはあっちら声優さんを知った頃

その方が完璧にご自分をプロデュースをしているのを知り

そんなことが本当に出来るのだろうか??という疑問から興味を持ってし出したことだ



新しい職場で出会う人達は

つまり、私のことを知らない

恰好や発言や振る舞いで

「私」という人間を判断していくのだ


なら、

それらを故意に調節すれば

思い通りのイメージ、もしくはそれに近いものを植え付けることが出来る筈だ


本当の自分など、晒す必要はないのだ

そんなもの

友人達には知り尽くされている


これを実行するには条件がある

その職場を実際に見た時

ここでは「恋人」も「親友」も作るつもりはない、と判断した時だけだ


また環境も結構大事だ

以前の小売店のようなところだと

事務所も小さく、人と人の関係も密接で助け合いや事情の共有もあったりするから

なかなか難しい


だけど今の職場は大きな建物に数百人の従業員

ロッカールームの端で、自販機の脇で誰が何を喋っているか全てを知ることなど出来ない

一緒に働いている人が、どんな家族構成で、どんな過去を持っていて

どんなことを考えているかなんてこと、自分から近寄って仲良くならなければ知り得ない

また基本、仕事さえしっかりこなしていれば文句を言われることはない



自分プロデュース遊びを実行するには

うってつけだ



ざっと見たところ、目を引く男性はいない

女性もどうしても仲良くなりたいと思うような美人もいない

一日中良い声を探している私の耳には

運搬係のオジサマと、夜の冷凍管理者がヒットしたが

私の友人を越えはしない


なら、作戦は実行、だ



まず

若い頃によくやった

「誰からも好かれる八方美人キャラ」は何しろ疲れるからこりごりだ

私のウエイトは職場では、ない

「綺麗なお姉さんキャラ」にもそろそろ無理がある

だって、私より綺麗な人がたくさんいたから

それに別にモテる必要は、ない

「セレブマダムキャラ」は面倒臭いし

「面倒見の良い肝っ玉母さんキャラ」は体力いりそうで何か嫌


もう、控えめで良いんじゃないの?

目立つ必要もないし、実際私、お喋りな人じゃないし

うん「地味で目立たない控えめキャラ」でいこう

だけどそれじゃ、ちょっとつまらないから

「訳あり謎あり女キャラ」も追加しよう



そう決定した11月1日から、すでに4ヶ月経ちました



そこそこ職場の皆さんと仲良くなりました

私は誰のことも詳しく知りたがるアクションをしませんでしたので

皆さんのことを良く知りませんが

「昨日、旦那がさぁ」「そろそろ娘が・・・」なんて

会話に出てくる情報で

「ああ、この人は既婚者か」「この方の娘さんは6歳」などと

頭の中のリストへメモします

ズバリ聞かれない限り、私はそんなうっかり情報漏洩はしません

だって「訳あり謎あり女キャラ」を選択したのですから



私は基本、食堂でひとりでランチを過ごします

自分から皆の元に行ったりはしません

だって「地味で目立たない控えめキャラ」だから

「こっちおいでよ!」などと誘われると、行くことにしています

だけど一度誘われたからといって

次の日も同様に当たり前のように合流したりはしません

だって「訳あり謎あり女キャラ」だから




ああ、面倒臭いキャラを選んでしまったな




だけどちょっと面白い




「昨日は一緒だったのに、今日はあの人来ないね?」

そんなことが囁かれいるかも知れません

その結果、誰も私をランチには誘わなくなりました




「寂しそう」だと思った人達が私に気安く声を掛けてくれます

有難い優しさです

「また午後も頑張りましょうね」と飴を差し上げます

「有難う!」笑う彼女の口コミから

「私」は悪い人ではなさそうだけれど人付き合いは苦手みたい、という

イメージが広まるでしょう






計算通りです






とりあえず、職場なのですから

毎日欠勤なく出勤して、ちゃんと仕事をこなしていれば

誰の迷惑にもならないのです


自分に迷惑を掛けない同僚の素性を知りたくなるのは

数か月先


それも、興味を引いた場合のみ


つまり

この時期、私に近づいてくる人は

私に興味があるという訳だ


有難いことにいました、数名




喫煙所で話し掛けてくれた女性は

「今しか!」とばかりに口火を切った

「私、覚えていますよ、冴子さんと初めて話した時のこと」

「え?」

「私が話し掛けたら、私、今日が初日なんです。って言ってましたよね?」

ああ、そうだ

同じ派遣で、何も分からないで派遣先から放り込まれて

ちゃんとした説明や指導もないまま、とりあえずやることを言われて

私は不満タラタラだった


「私もその数日前に来たばっかりだったんで、冴子さんの気持ち良く分かりましたよ、ここって、教えるの下手ですよねぇ」

「ホントそうだよね?聞いても人によって答え違うし、業界用語っていうの?ここでしか通用しない言葉ってあるじゃない?そういうことも初め聞いてビックリしたよねぇ」

「そうそう!!やっぱり同じこと考えてたんだぁ~仲良くなりたいって、ずっと思ってたんですよねぇ」

「そうなの??早く言ってよぉ」

「でも、私・・・今日が最後の出勤なんです・・・」

「え?」

「お金貯める為にここを選んだだけで・・・」

「そうなんだ・・・」



次の日から、本当に彼女は来なかったから

唯一私と仲良くなりたいと思ってくれた女性はいなくなった




あとひとり

機材の整備をしていた時、ひとりの男性が近づいた


「冴子さんってさ、あんまり喋らないけど、それは慣れてないからなんだよね?」

「え?」

「今はまだ照れちゃって、本音を言えないだけなんだよね?」

「・・・」

「シャイな人なんだね。俺、ここでは結構浮いてるし、多分皆にも良いこと言われてないと思うし、さ。だけど上司に嫌なこと言われたりしたら、俺の名前出していいよ。俺、絶対そういうのに負けないから」


来たね

うん、来たよ


彼は統括リーダー

皆を率いる立場にいる人だった


だけどリーダーと呼ばれる人は数名いて

その関係性もあまり良いものではないように見えた


会話の内容から分かることはたくさんあった


「結構浮いている」は疎外感を感じているのだろうし

「良いこと言われてない」というのは

やったことに対しての評価の低さを悲観している

なのに「俺の名前を出していい」というのは自己顕示欲そのもの

有難く分かり易い私の救世主



良い男だ

色んな意味で



見てくれは、

阿散井恋次

(分かるかなぁ?bleachのキャラなんだけど、彼を例えるなら恋次しかいないんだよぉ)


破天荒な物言い

その見た目

デカい身長に広い肩幅

ストレートな発言



「見てくれ」の観点で言えば

私から見たらこの職場で数少ない「男性」だった


私は自分よりも高く、屈強でなければ「男性」とは捉えないから


ただ、声に響かなかっただけで



「じゃあ、困ったことがあったら相談しますね」

「うん。そうして。いつでもいいから」



ああ、この人

必要とされたいんだ



ああ、

何か分かるこの感じ



共鳴しちゃったら、恋愛なんて面倒臭いものになりますか?




先日

商品が破損していたので

それを直すべくラップを探しに事務所に行った

私はとにかく破損したものを新しいラップで包み一刻も早出荷したい状況


狭い場所にラップが・・・そこには彼がいたので「失礼します」と声を掛けて私はラップを取った

狭い空間だったから、私はよろけて彼のウエストに手を添えた

大人だもの

別にそんなこと

あっても平気でしょう?

そう思っていたが

触れられた方の彼は、一瞬私を凝視した


何も言わない

何も言わないのだけれど


そういうことって、あるでしょう?


彼は私を

意識した



私も、同じく



だけど

ちょっと声が残念




「失礼しました」

私は綺麗にラップされた商品を持って帰る



「うん。いいよ」

微笑んだその視線




彼が私に興味を持ったことは

その視線で分かるけど







その声じゃ




多分、無理










惜しい!!!!!!!!