2023年12月の読書メーター
いるいないみらいの感想
子供にまつわる短編集。子供がいるいない、悩む先の未来がどちらであれ、登場人物が幸せになって欲しいと願いたくなる物語でした。今の時代、子供は授かりものとは言っても、望む望まないの選択があります。物語ではその葛藤が描かれていましたが、結論が出るわけではありません。でも、子供がいないことイコール不幸ではないはず。人それぞれ様々な事情があります。それに皆が皆子供が好きでもない。そうした人たちにスポットを当て、一握りの優しさを感じました。『ほおずきを鳴らす』では子供を失った哀しみにそっと寄り添う物語でした。
読了日:12月28日 著者:窪 美澄
世界の果てのこどもたちの感想
戦時中から戦後まで、満州で出会った3人の女の子の壮絶な人生が、子供たちの視点で描かれていました。戦争の物語は胸が締め付けられます。特に満州から部落の人たちが命からがら日本へ引き揚げるときの描写は辛くなりました。3人はそれぞれ中国残留孤児、戦争孤児、在日朝鮮人となり、苦難のなか生き抜いていきます。子供の頃のたったひとつの思い出が時を経て3人を結びつけますが、悲しい現実もありました。子供たちに罪の意識を持たせる戦争は一生、人を苦しめます。平和を願わずにはいられません。
読了日:12月19日 著者:中脇 初枝
小箱の感想
発想力が凄かった。独特の世界観で戸惑いました。どちらかと言うと苦手なタイプの小説です。読み始めてしばらくは完読出来るか自信がなかったのですが、少しずつ惹き込まれていきました。繊細で悲しい物語。残酷な世界でありながら小川さんの筆致が美しいです。亡くなった子供たちと、亡くなってからもガラスケースの遺品により子供の成長を見守る親たち。究極の弔いの物語に感じました。
読了日:12月14日 著者:小川洋子
親愛なるレニー: レナード・バーンスタインと戦後日本の物語の感想
2人の日本人によるレナード・バーンスタインへの手紙と、戦後日本におけるクラッシック業界の移り変わりが描かれており、深く静かに感動しました。2人の愛溢れる手紙からバーン・スタインの素の部分を想像し、世界の巨匠を身近に感じられました。ともすれば下世話な内容になりかねないところ、著者は誠実に3人の関係性やバーン・スタインの本質を映し出していたように思います。橋本さんの手紙はご本人が訳しており、その豊かな表現力に感嘆しました。公開を許可して頂き、読者として感謝します。 日本エッセイスト・クラブ賞受賞作品。
読了日:12月03日 著者:吉原 真里
12月は4冊読んでいました。
大体、月に4冊が私のペースかも
12月の読書では、中脇初枝さんの『世界の果てのこどもたち』が特に良かったです。
中脇さんの小説は『きみはいい子』を過去に読んでいて、読みやすい小説を書かれる作家さんのイメージでした。
さらりとしているかなぁって、ちょっと物足りなさを感じていました。
でも、『世界の~』は壮大な物語で、力作だったのではないかと思います。
感動的でした
小川洋子さんの『小箱』は、また別の意味で凄かった。
何、この発想力
こういう物語を書けるのは小川洋子さんだからなのでしょうね。
最初はとっつきにくかったのに、いつの間にか静謐な世界観に入り込みました。
1月の読書の記録。
先月は3冊でした。
お正月、全然本を読めなかった(笑)
1月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:771
ナイス数:60
鍵盤に指を置くとき トゥレットは僕の個性の感想
YoutubeでYUSKさんの動画を観て書籍を知りました。それまでトゥレット症のことは殆ど知りませんでした。症状だけではなく、他人から白い目で見られやすい病気であることに胸が痛くなりました。ただ、ピアノを弾いている時だけは症状が出ない。とても不思議で音楽の力を感じました。ピアノを趣味にしているのでピアノの話は大変興味深かったです。頭の片隅にでもトゥレット症のことを知っていれば「もしかして?」と思うことが出来ますね。そこから理解の一歩が始まるのではないかと思いました。沢山の方に読んでもらいたいです。
読了日:01月29日 著者:YUSK(ユウスケ)
鍵のない夢を見るの感想
短編集。辻村さんのダークな作品は一気読みしてしまいます。読んでいて気分の良いものではないのですが、女性の心理の隙間に潜んでいるような闇を鋭く突いていて、心を揺り動かされます。自分も日常生活の中で一瞬でも身勝手な感情をもつことがあるのでは?自意識が発動することがあるのでは?と省みるきっかけになります。ただ『芹澤大学の夢と殺人』には共感出来ませんでした。この狂気は私にはわかりません。『君本家の誘拐』は、例え良枝の人柄に他人の気持ちを慮れない一面があるにしても、少し気の毒に思いました。
読了日:01月23日 著者:辻村 深月
お探し物は図書室までの感想
『図書館』ではなく『図書室』なのがいいなと思った。様々な悩みを心に抱えつつ図書室に足を運ぶ様々な世代の人達。司書の小町さんが勧める一見的はずれ的な本がきっかけとなって自身と深く向き合うようになり、前向きな人生を歩もうとするオムニバス形式の物語。希望を感じる読後感が良かったです。小町さんのキャクラターも面白かった。本との出会いは、もしかしたら人との出会いよりも貴重で、自分を動かす原動力になるのかも知れない。
読了日:01月21日 著者:青山 美智子
読書メーター
辻村深月さんは『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞したのですね。
読んでから知りました💦
サスペンスとミステリーの要素が入っている物語でしたね。
『芹澤大学の夢と殺人』は物語的には秀逸なんですけれど、主人公の女性の感情に共感をもてるところがなかった。
大体、辻村さんのダークな小説であっても、登場人物の心理に
「そう思う気持ちもわからないわけではないな」
と状況や思考の論理から理解できるところがあるんです。
例え狂気性があっても。
理解できないのは・・・・
『芹澤~』で描かれていた男性のようなタイプが私は本当に嫌いなんだ、と思いました(笑)
青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』は、楽しい小説でした。
心が浄化されました(笑)
私は詩の読み方がイマイチよくわからなくて苦手だったんですけれど、感じるままでいいのだなぁとこの本から学びました
・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚
街の本屋さんが次々に閉店していきます
一番大きな本屋さんは、既に閉店してしまいました。
その後、また本屋さん閉店のニュースがあり、これから2軒無くなります。
読書好きの私にとっては、影響大ですよー。
そりゃぁ、ネットで本は買えるけれど・・・
手に取ってから、購入を決めたい本もあります。
本屋さんでズラズラズラッと本が並んでいて、山積みになっているのを眺めるだけでも、ワクワクするのに。
こんな本もあるんだなー、この本も読みたいなー、と思う楽しさがどんどん奪われていくー💦
夫の職場の人は
「本屋が閉店しても、何の影響もない」
と言っていたらしいけれど
電子書籍もありますが、私は紙がいい。
なんたって目に優しいし、表紙を眺めるのは楽しいし癒しにもなる。
本棚にも並べたい。
新刊の紙の匂いが心地いい。
パリッとした誰も手につけていないページを捲る触感のドキドキとワクワク。
そっと触れる背表紙には読後の余韻。
また手にしたい時には、パッと振り返られる。
本の楽しみって、そういうところにもないかなー。
まぁ…本屋さんの不振は雑誌が売れないことらしいですが。
・・・何とかならないのかなー