さて、私がここに書かせていただく記事も残り少なくなってまいりました。
今年も九州地区の各塾の実績等について、九州トップ2校の「ラサール」「久留米附設」を中心に、その合格実績について、まとめてみました。(グラフに誤りがありましたので修正いたしました。)
なお、このようなまとめ記事は本年度で最後にするつもりでございます。
下記数字は2月20日時点での数字となります。追加合格などは、あらかた出尽くしたとは思いますが、後日追加がありましたら修正していきたいと思います。
・・・改めて自分たちの番になってみて、合格者数を表にしながら実感させて頂きました事は、この1つ1つの数字の重み・・・、それは単なる「1」ではなく、その陰にたくさんの努力と、苦労と、思いが詰まっているのだという事でした。
そして、この数字に反映されない沢山の涙や悔しさがそこにはあるのだという事・・・。
特に本年は様々な理不尽の中で翻弄された学年になったわけですから、そういったやりきれない思いを持たれている方々も、本当にたくさんいらしゃると思います。
そういった中で、数字が増えたの減ったの、あ~だこ~だのたまう事の愚かさ、失礼さ、下品さといったモノは、自分自身でもわかっているつもりではあります。
しかし、そういった色々なご批判がある事は重々承知はしておりますが、それでもやはり後に続く学年の方にはそれなりに参考になる分析やデーターではないかとも思いますので、やはり最後にこのまとめ記事を書かせて頂こうと思います。
まずは、各塾の合格速報のリンクになります。
本年のデーターに関しましては、基本的に下記リンクからの転載になります。
以下の表の過去のデータに関しましては、過去記事から加筆している部分もございますが、新たにネット上の記事、画像、過去のアーカイブの新聞広告や看板の画像等を調べ、そこから知り得た範囲のものを掲載しておりますが、実際のデータと異なる場合もあり得るという事を予めご了承ください。
まず目につきますのは、「灘」合格実績の各塾の数字の減少ですが、これはこと英進館におきましては、コロナ禍の影響を直撃してしまった事が最大の要因だったのではないか、と思っております。
そもそも英進館の「灘クラス」というものは、6年の夏になってからのわずか半年で、精鋭を集め、通常の社会の授業を省き、その時間を使って超高難易度の「灘」の算数・国語の対策を行うという、かなり無理のあるシステムになっております。
ただでさえ余裕がない状況で進めいていくわけですから、この状況下で合宿もすべて中止となりましたし、その他のカリキュラムの予定もかなり変更があったわけで、かなりその影響を受けてしまった事は否定できないと思います。
そして、当然ながらそんなハンデを簡単に克服できる程、灘という学校は、簡単な壁ではないわけです。
加えて直前期での第3波、緊急事態宣言による塾の引率中止という事もあり、本来十分に勝算がある優秀なお子様方が、灘中の受験そのものを断念されたというケースも多々あったというふうに伺っております。
九州地区においては、灘の受験日の後に、ラサール・附設という、塾の多くの受験生が第一志望の学校の受験が控えていたという事情もあり、英進館としても苦渋の決断で、やむを得ない判断だったと思いますし、その決断は企業コンプライアンスとしても、むしろ評価する声が多かったのではないかと思います。
しかしながら、この為に必死に頑張ってきたお子様方の事を考えますと、やはりやるせない気持ちで一杯になります。せめてピークがあと1か月早まっていたら・・・同じ緊急事態宣言下であっても、かなり状況が変わっていたはずで、本当に運命のいたずらと感じざるを得ません。
追加合格に関しては、灘・久留米附設は現時点での追加はなく、ラサールは3塾合計で25名、他塾を合わせると、おそらく40名程度の追加が出たのではないか、と考えています。
ラサールの追加合格によって、最初の発表時、17あった英進館と日能研の差は7まで縮まった事になります。
ただ、あくまで個人的な考えですが、追加合格というのはあくまで学校側の都合で最初に数を少なくするのか、多くするのかという事であって、最初に発表された時点での合格も、追加合格も、その価値になんら差はないと、私は考えております。
附設+ラサールの合格者数の合計を、そしてこの三塾の合計数に対する各塾の割合(=シェア)を年度ごとに各塾で比較してみると、このようになります。
ラサール、久留米附設の各塾の合格者数の比較では、今年は英進館はやや数を減らし、日能研と全教研が数を増やすという結果になりました。
しかし、グラフにしてみますと、確かに英進館はシェアを落としてはいるのですが、それでも過去3番目の数字ですし、十分素晴らしく、また驚異的な結果である事が見て取れます。
日能研も、2010年以来の好結果ですが、そもそも2016年までは安定して30%代の好結果を残していたわけで、それほど意外な結果というわけではないようにも思います。
次に、久留米附設中に絞ってデーターを整理してみます。
まず、英進館の附設135という数字ですが、以前134と予測した数字とそれ自体はかなり近かったわけですが、内容はかなり外してしまいました。
まず、英進館生の出願数ですが、附設クラス249名+灘クラス40名+TSクラス30名=336名の受験と見込んでいましたが、蓋をあけてみると317名でした。おそらく難化を嫌い、私が思った以上に英進館TSクラスからの受験数が減ったのではないかと思います。
そして180程度と予測した合格数は215、3.8倍と考えていた実質倍率は3.2倍と、大ハズレではありましたが、これはこれで正直うれしい誤算でした。
また、あらためて表をみていると、合格者のこの3塾の合計シェアがこの12年で平均92.5%と驚異的な数字になっています。本年度に関しましては、自分が知りえた範囲で確認した他塾生が推定でおよそ10名だとすると、合計207名となり、これは全合格者数の96%超になる計算です。
よく、久留米附設は通塾無しで合格可能でしょうか?というご相談といいますか、ご質問を頂く事があるのですが、これらの結果から考えても、答えは「不可能ではないけれども、限りなく勝ち目が薄い賭け」になるという事は明らかだと思われます。
グラフにしてみますと、このようになります。
やはり英進館は、過去3番目のシェアになりますし、十分過ぎる結果ではないでしょうか。
また、日能研、全教研はここ数年とほぼ度程度の結果といっても差し支えないと思います。
同じグラフをラサールについても作ってみました。
といっても、ラサールは合格者数を発表しておりませんので、この3塾の合計数を100%とした時の比率になります。
今年は日能研が2016年以来、英進館の割合を上回っております。
しかし、そもそも2017年、2018年を除き、ここ10年あまり、この両塾は拮抗した結果を残してきております。この点に関しては後程また考察いたします。
ここまでのデーターを整理してみますと、今年の英進館は、ラサール合格者数に関してはやや苦戦した事は否めないわけですが、その理由として考えられる原因の1つが以下の2つのデーターから見えてきます。
まず、英進館では今年特に上位クラスで女子の比率が例年になく高かったように思います。
そして、特に福岡県の各教場における上位層男子の中でも、併願できないこの両校の選択において、地元である久留米附設を選択するケースが多かったように思います。
人数的な比率が多い、英進館天神校でも、最終的に附設:ラサールのクラス数の比率は2:1でした。全体の細かな人数比率はわかりませんが、女子の人数が多かったという事を含め、本年度は附設志望者>ラサール志望者の傾向が英進館においては例年より強かったのは、間違いありません。
さらに言うと、これも最終的な話であって、夏前まではさらにもっと極端な志望動向だったように思います。
このままだと、特に附設ボーダー層、特に女子は行き場をなくしてしまうのでは?、また本年度の英進館の合格実績はとんでもない事になってしまうのでは?と本気で心配しておりました。
ただこれは、決してラサール自体の魅力が低下したわけではなく、やはりこのコロナ禍で子供を親元から離したくないという意識が、より強まったからではないかと考えています。
同じような理由で、個人的には関東や関西などからの(附設はもちろん)ラサールの受験者数もかなり減るのではないか?と予想していたわけなのですが、これが私の大きな誤りでありました。
結論から申し上げますと上の表・グラフを見ての通りで、関東からの合格者はむしろかなり増加しております。これがやはりと言いますか、ラサールというブランド力の凄さで、これはもう、たとえ久留米附設が数年、少々進学実績で上回ったとしても、ちょっとやそっとでは真似できないところではないかと考えております。
(ちなみに四谷大塚の数字については、英進館+早稲田アカデミーの数がかなり含まれると思いますので、除外しております。)
この点については、同じデーターを久留米附設でとってみますと一目瞭然です。
この流れが変わってくる可能性があるとしたら、それは久留米附設に「女子寮」なんてものが出来た場合、ではないかと思います。
まとめとしましては、英進館内の競争で附設の競争激化が予想され(実際そのとおりではありましたが)、相対的にラサールが通りやすくなるかと思いきや、地元塾は底堅く、日能研のラサール比率は従来と変わらず、関東からの受験も減らなかった事、そして英進館内の受験者数と受験者層の変化が重なった事が、本年のこの結果の1つの大きな要因になっているのではないかと私は考えています。
しかしこのグラフの2017年の九州三塾でシェア100%超えというのは、数字としてどう考えても変ですよね。
塾生の移籍やダブルスクールなどにより、数字のダブルカウントといったものも、あるにはあるでしょうが・・・これはさすがにちょっと多すぎて、それでは説明がつかないように思います。
表中でプチ考察してますが、ひょっとしたらこの年は電話連絡された追加合格者のうち、辞退者に関して、学校側では「合格者としてカウントなし」、塾側では「合格者としてカウント」、みたいな事があったのかも・・・なんて妄想も湧いてまいります。
まぁ結局、久留米附設発表の実際の合格者数が違うのか、各塾の発表のどこかに間違いがあるのか・・・それは今となっては謎のままではあります。
また、それを言いますと、そもそも2017・2018年は久留米附設・ラサールの併願が可能だった年になるわけです。
もちろんこれはこれで大事なデーターには変わりないわけではありますが、年度ごとの比較をする上ではちょっとわかりにくくなってしまいますので、ちょっと併願可能だった2年分のデーターを外した状態で、表やグラフをまとめてみました。
こんな感じです。久留米附設+ラサールの合計シェアも同様にまとめてみます。
で、グラフにすると、こんな感じになります。
やはりこの2校が併願が可能という事になりますと、この2校を主戦場とする英進館が数字としては有利に働く事が考えられます。
ですから、そこを外してまとめたこのグラフを見てみますと、2011年以降の英進館と日能研の九州における勢力図は、ある意味ずっと安定した状態である事がわかると思います。
英進館の本年度の成績も、この表・グラフの中では2番目に高い数値であり、やはり疑いようもなく素晴らしい実績である事が、改めて確認できます。
一見今年の実績が下がったように感じられたのも、本当にただただ去年の英進館生があまりにも凄すぎた、もうチートとしかか言いようがない凄まじい成績だったから・・・、というわけでございますね。
久留米附設に絞ってみても同様の傾向になります。
というか、去年の数字を別途すれば、むしろ本年度だって、近年では頭ひとつ抜けるぐらい良い成績だと思います。
また、この表では日能研は安定した実績を出している事が強調されますね。受けた母数がわからないので憶測になりますが、おそらく合格率も安定しているのではないかと思います。
全教研はここ数年やや伸び悩んだ事が表には表れていますが、今年の上昇傾向状況が浮上のきっかけになるかもしれません。
ラサールに関しては、やはり併願年を除外すると、英進館と日能研は、抜きつ抜かれつのかなり拮抗した結果を出しているという事が、このグラフからは、よりわかりやすく見て取る事が出来ると思います。
以上これらの事から、やはり英進館内では志望動向の割合が、ラサールから久留米附設よりへ、年々シフトしてきている、日能研ではその変化があまり見られない、全教研はそもそも志望動向がっとずっと附設>ラサールである、という事がわかると思います。
という事で、本学年英進館生の皆様、支えられた保護者の皆様方、このようなかつてない大変な状況の中での受験、本当に本当にお疲れ様でした。
関東や関西の遠征、本当にもっとさせてあげたかったという思いもありますし、十分な対策が出来ず、勉強に集中しにくい状況もあったりと、結果に満足とはいかない部分もあったり、不完全燃焼という気持ちを持たれている方も多いかもしれません。
ですが、皆様一人一人が積み上げられた実績は、このように評価すべき素晴らしいものですし、たとえ数字にあらわれなかったとしても、このようなう逆境の中で皆さんの中に積み上げられた努力とそして経験は、自分だけの宝物、皆様方が今後生きていく上での大きな財産になるはずです。
来年度受験の皆様方にとりましても、本学年の経験を経て、塾に蓄えられたノウハウやシステム、反省や経験といったものは、きっとしっかりと生かされ反映される事だと思います。
どんな事があっても、いままでやってきた事を信じて、いつも支えてくれている塾の先生方を信じて、今年一年頑張り抜いて下さい。
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