私が専業だったときは、身一つのときも、妊娠しているときも、子供が生まれてからもあった。

兼業洗脳教育を受けた私だけに、仕事を求める気持ちは常にあったが、あいにく外国人でその当時は言葉もかなり不自由ということもあって、何も仕事はなかったのである。
その頃話題になった「くたばれ専業主婦」という本があった。
その本によると専業主婦というのは税金を払わず夫や社会に食わせてもらっている、家畜のような、もとい家畜以下の存在だそうだ。

ヨーロッパの女性というのはたいてい仕事をしている。私が住んでいる北欧でも、基本的に専業主婦というのは存在しない。いるとすれば外国から来た一家の奥さんか、かなり年配の人に限られる。
ではこっちの奥さん方がみんな男性と対等にバリバリ働いているかというとそうでもない。確かに企業の重役や大学教授などには日本よりは女性の比率が多いかもしれない。だがたいていの人はいわゆるパートで、低賃金の職種に女性の労働力が集中している。それでも税率の高い国では、働かないよりましなのである。あと、こちらの人は子供の時からみんな兼業洗脳教育を受けている。仕事がないとステイタスがないのである。

というわけで、その当時私は勉強する専業主婦もとい求職中の学生だった。
仕事にあぶれた女性にはよくあるパターンである。

ところが、これを非難する人がときたまいた。
失業者だなんて、勉強することで国から補助金をもらっているんでしょう。
税金を払わず夫や社会に食わせてもらっている家畜のような存在ですね。
こんな風に言う人はなぜか・・・
地元の人より他の日本人に多かった。

一時帰国したとき、NHKの番組を見た。専業主婦の扶養者控除を扱ったドキュメンタリー番組で、アナウンサーはこう言った。戦後扶養控除などの制度を作り、「専業主婦」が推奨される風潮ができたのは政府の失業対策の一環でもあった。それを聞いてハタと膝を打ったのである。

人手不足の環境下においては専業主婦が推奨される必要はないかもしれない。だが今は人手不足ではない。小さなパイをみんなで取り合う中で、夫婦とも
働くと経済的に潤うだろうが、夫婦とも失業すれば社会の貧富の差は広がるだろう。
まあ、そこでなんで女性だけが「主婦」になるかという話になるのだが・・・。

(いつか続く)