音楽にはたくさんのジャンルがあって、様々な種類の楽器がありますが、

言葉を使って意味を伝えることができるのは「歌」だけです。

だから、他の楽器練習にはない「発音」の練習も必要になります。


日本人だし、日本語しゃべれるし、

日本語の歌なら歌える、と思っている人も多いと思いますが、

「その歌を聴いた人がちゃんと理解できる」レベルかと言われると、

そうでない人も多いのでは。


あえてはっきりと発音しないで歌うプロの人もいますので、

それは今回はちょっと置いておくとして…


実際には、話す時と歌う時では条件が違いますよね。

しゃべるリズムと、歌うリズムが同じケース、違うケース、

しゃべる時のイントネーションと、歌のメロディの高低が、一致するケースと違うケース、

これをわかりやすい例で言うと、

「咲いた 咲いた チューリップの花が…」

これはメロディとリズムが歌詞とほぼ一致しています。

では「世界にひとつだけの花」はどうでしょう?

「花屋の店先に並んだ いろんな花を見ていた」

メロディをこんな風に歌ってますよね。

「はぁやのー みぃさきーに なーらーんー

話す時のイントネーションとは、まったく別なフレーズになっています。


どちらかと言えば、昭和のヒットソングは、

言葉のイントネーションとメロディが一致しているものが多く、

最近の曲では、あえてズラしてあるものが多くなっています。

だから「世界にひとつだけの花」は、

お年寄りには歌うのがとても難しい難曲なんです。


まぁお年寄りの話もまた別な機会にするとして、

普通に歌ってしまうと、とても意味が分かり辛い曲は、

普通にしゃべるよりも、ずっとしっかり発音しないといけない、

ということはわかって頂けましたでしょうか。


具体的な発音の練習方法も書いておきましょうね。

まずは自分が、口のどの部分を使って発音しているのか、

それを観察するところからはじまります。

「あ い う え お」

と発音する時に、口の中では何が起きているんでしょう?

「か き く け こ」

の時には、口の中のどの部分が動いていますか?


もし、うまく言えない言葉があったとして、

それがうまくいかない理由がどこにあるのかわからないと、

それを解決するためには、どんな練習をすればいいのかもわかりませんよね。

しかも、口の中は見えにくいので、先生の口の中を見せるのも難しいし、

生徒さんの口の中を見ることもなかなかできません。

そのため、とにかく「見えない部分」で普段意識せずに動かしているところを、

レッスン時には、認識しながら動かしてもらうようにしています。

意識してその部分を動かすことができるようになれば、どんどん上達します。


意識できるようになったら、

言葉を「母音」と「子音」にわけて、苦手な言葉を集中的に練習します。

ここで、ひとつ落とし穴になるのが、日本語の「五十音表」です。


例えば「タ行」をローマ字で書いてみると、

「ta ti tu te to」となりますが、

これを発音すると「タ ティ トゥ テ ト」になっちゃいますね。

「タ チ ツ テ ト」にするためには、

「ta chi tsu te to」

という子音を当てはめる必要があります。


つまり、口の中を意識しながら、子音と母音の発音練習する時、

タ行の場合は、

「ta ti tu te to」(タ ティ トゥ テ ト)

「cha chi chu che cho」(チャ チ チュ チェ チョ)

「tsa tsi tsu tse tso」(ツァ ツィ ツ ツェ ツォ)

の3種類を練習しないと片手落ちになっちゃいます。


他にも半母音や、英語の発音など、

練習した方がいいものはたくさんありますねー。

あれ…なんかめんどくさくなっちゃった?


大事なことは、「聞いた人が意味を理解できるかどうか」です。

自分勝手に歌うだけなら練習など必要ありません。

自分の歌を聴いてくれる人に伝えたいことがあるのなら、

ぜひめんどうがらずに練習してみてくださいね。