レッスンでハーモニーの練習をすると、

隣の人の声につられないように、耳を塞いでしまう人が時々います。

気持ちはわからないでもないけれど…

やっぱりそれではいつまで経ってもハモれるようにはなりません。


音楽には基本となるメロディがあり、

そのメロディを引き立てる伴奏部分があります。

伴奏そのものがハーモニーなので、

耳を塞いで歌おうとすることは、目をつぶって歩くようなものです。


どこに道の端があって、どこでカーブしているのか、

見てわかって歩かないと、はみ出したりぶつかったりしてしまいますね。


いやでも…隣の人の声にどうしてもつられちゃうから…


という人には、3Dアートを見る練習を勧めています。

3Dアートは、平面に描かれた図形を、ピントをずらして見る事で、

まるでそこに立体物があるかのように見る技術です。

人の目は、どうしても「目についたところ」にピントが合うようになっています。

だから、「今見えていないところ」にピントを合わせるためには、

脳の回路を切り替える練習が必要です。


耳は、目とはちょっとシステムが違いますが、

やはりピントのような機能を持っています。


例えば、街中のファストフード店で、

誰かと夢中でおしゃべりしている時には、店内のBGMは聴こえていません。

遠くにいる人の話が気になって、目の前の誰かが話していることが耳に入らない、

なんてこともありますよね。

普段は無意識に行っていることなのですが、

これを意識的に行うことで、耳のピントを調節することができるようになってきます。


これができるようになったら、次は自分が普段聴いている音楽で練習してみましょう。

いつもはボーカルや、メインのメロディしか聴こえていなかったものが、

ギターやピアノ、ドラムやベースなど、いろんな音が聴こえてきます。

そうなれば、もう一枚の絵を見て平面だと思わないのと同じように、

音楽も立体的に聴こえてきます。


ここまでくればハーモニーの練習のスタートラインです。

まだスタートなのかよ!と言われそうですが、

そんなに簡単なら習う必要もありませんよね。


ここからは、具体的に和音を聴き分ける練習に入ります。

2つの音が一緒に鳴っている時に、どんな感じがするのか、

「気持ちいい」のか「なんかイヤな感じ」なのか、


3つ、4つと増やした時に、どんな感じがするのか、

その経験を少しずつ増やしていきます。


理屈で説明することもできますが、

それを聞いたところでめんどくさくなるだけなので、まずは感覚でつかんでいきます。


どんなことでもそうですが、理屈で理解することと、

感覚でできちゃうこととは別です。

ああ、なんか気持ちよくハモれたー!という感覚が掴めてから、

あらためて理論を聞くと「ガッテン!」できるのです。


ハーモニーをマスターすれば、

音楽の世界が大きく広がっていきます。

苦手…と諦めずに練習してみてくださいね。