やがてお昼時になり、海がよく見える場所にレジャーシートを広げて場所を取った。
取り皿に、蓮のおかずやお握りを取り分けているキョーコを見ながら、蓮は幸福感に浸っていた。
二人で幸せそうにお弁当を食べながら、会話する姿は傍目には、付き合いたてのカップルか、新婚夫婦にしか見えなかった。
昼食を終え、二人で無言で、ーけれど、その沈黙は気まずい物ではなく、むしろ心地良い物だったー見るともなしにその場から見える景色を堪能していた。
丁度その時、一陣の風が吹き、キョーコの髪の毛を吹き上げ、年相応の無邪気さと大人っぽい憂いを帯びたキョーコの顔を見た蓮は、ついポロリと「最上さん、好きだ。」と告白してしまった。
キョーコは、その蓮の告白に驚いて、只々目を丸くするばかりだった。
うっかり告白してしまった蓮は、(しまった!時を見計らって言おうと思ったのに。でも、口から出てしまった物はしょうがないな。)と思い、改めて告白し直そうとした時、隣りから蚊の鳴く様な声が聞こえて来た。
「・・・・・さい。」蓮がキョーコの方を振り向くと、
今にも泣きそうな顔のキョーコが今度はっきりと、
「敦賀さん、他に好きな女性がいるのに、そんな事を言って私をからかわないでください!!」と拒絶した。
そのキョーコの言葉にショックを受け、驚いた蓮は「ちょと待って、最上さん。そんな事誰が言ったの?」と聞くと、
「敦賀さんご自身から確かに聞きました。私と同じ名前の”キョーコ”さんって言う、敦賀さんより4才年下の女子高生だって。」
蓮はキョーコにそんな話をした覚えはなかったが、ある可能性ーそれが一番可能性としては高いー に思い立った。「最上さん、君があの鶏君なのか?」
キョーコは、しまったという顔をしたが、頷いた。
(このまま敦賀さんといたら、私はは何を口走るか分からないわ!)
そう思ったキョーコは、その場を立ち去ろうとした。
が、蓮はそんなキョーコの腕を掴み、逃げていくのを阻止した。
「待って、最上さん。まだ話は終わってないよ。」
キョーコが弱々しく「離してください。今の告白は聞かなかったことにします。私じゃなく、敦賀さんの想い人の”キョーコ”さんにちゃんと言ってあげて下さい。私を身代わりにしないで下さい。」
キョーコは悲痛なまでに叫んだ。
《続く》
この回で終わらなかった(_ _。)次回で終わるといいなあ。