ビジネススクールは桐原先輩が選んでくれた。
ボクに必要なスキルが身に付きそうなスクール。
要は、
上司から見て、
このスキルを身につけてほしいって目線。
それと、
ボクが、
習いたいと思ったカリキュラム。
その両方を納得させるスクール。
ビジネスの初歩。・・・考え方とか・・・
それと、経済、会計の初歩が勉強できる。
そんなスクールを選んだ。
入講初日。
赤坂の駅を出ると、
「都会」が眩しかった。
夜なので、ネオンが眩しい・・・・とはいえ、新宿のようなギラギラしたものじゃない。
なんというか、
「大人の雰囲気」だ。
赤坂に足を踏み入れるのは何年ぶりだ・・・・・?
東京の東京。
日本の首都、東京。
さらには、その中心地。
政治でも、経済でも中心地の場所だ。
田舎者には、
敷居が高くて、
気後れして、
なかなか来れない場所だ・・・
駅を降りると・・・
地下鉄の駅から地上に上がると、
ガラス張りのお洒落なレストランがドドンと目に入る・・・・さっすが「赤坂」だ。
・・・・って思ったら、「ぼてじゅう」だった・笑。
関西人にはなじみの深い「お好み焼き屋」だ・・・・チェーン店だ。
それが、
大都会、東京。
そのまた、都心のド真ん中に店があった。
歩道からはガラス張りの店内を見上げるような形になる。
・・・・え?
おいおい、「黒服」みたいなのが給仕してるよ・・・・笑。
お好み焼き屋なのに・笑。
ボクが知る、大阪の「ぼてじゅう」とは、全く違った趣だ・笑。
なんだか、
アメリカ・ニューヨークで「吉野家」を発見したほどに笑ってしまった。
・・・同時に、
なんだか、一気に親近感・・・いや、大都会、赤坂を歩くって緊張感が流れていった。
駅から10分も歩かない先にスクールはあった。
受付で名前を伝えれば、入学案内を渡され教室を教えられた。・・・・すでに開始5分前だ。
ボクが住んでる場所からは遠いからな。時間がギリギリになってしまった。
ここは、「赤坂」
都会のド真ん中。
ボクが住んでるのは、東京の外れだ。
それでも、
もちろん、定時であがって駆けつけた。
スクールに通うのは、桐原先輩の許可をもらっている・・・・ってか、「半分業務命令」のような感じになっている。
ってことで、社内でも通達が行き届いていて、
何の気がねもなく、定時で上がらせてもらえた。
ってより、
「頑張れよーーー」
先輩たちから声さえかけられた。・・・もちろん、冷やかしの声って感じだったけど・笑。
でも、
微塵も悪意は感じなかった。
・・・・なんだか、
ありがたいなぁ・・・
・・・そう思う。
教室は・・・・100名・・・いや、70名くらいで満席って感じか。
すでに、前の席から埋まっている。
・・・・なんだか熱気を感じる。
やっぱ、高校とは全く違うよな。
大人だ。
嫌々来てるんじゃなく、
「勉強したい!」
そんな熱気を感じた。
ほぼ満席って感じか。
静かに、一番後ろの席に着席した。
入講式が始まった。
カリキュラムの説明。
講師陣の紹介。
生徒の年齢層はバラバラだ。
オジサンサラリーマンがいるかと思えば、
オバサマOLさんもいる。
総じて「若者」ってのがいない感じか。・・・・ボクが一番若いって感じかなぁ・・・・「茶髪」ってのがいない。
・・・まぁ、ボクも染めてはいない。
なかなかな、
日本のサラリーマンってやつは、「茶髪」ってわけにはいかない。
んで、
OLさんたちも、派手な「茶髪」は無理だ。
ボクが座ってるのは、最後席だ。
みんなの後頭部が見えた。
・・・・・「茶髪」は・・・・
数えるほどしかない。
最前列に、一際、目立つ後頭部があった。・・・・明かに「茶髪」って明るさ。
ボリューム感のある・・・流行りのふわっとした髪型。
ほかには、
微かな、品の良い「茶髪」が数人。
・・・ってことで、
男女比は圧倒的に男の人が多い。
8:2ってとこか。
このスクールには会社命令で来る人も多いって話だった。
大企業が、
会社の研修の外部委託のようなかたちでも使っているんだった。
確かに、
ボクも、会社の補助金で来ている・・・・
会社には、「補助金」の利く、スクールリストみたいなのがあって、
そこで、このスクールを見つけたんだもんなぁ・・・
んで、桐原先輩が、それらの手続きをやってくれた。
さらには、授業料すら負担してくれた。
桐原先輩には足を向けて寝れない。
人生の恩人だった。
・・・・まぁ、
桐原先輩にとっての事情ってのもあるんだろう。
桐原先輩は、仕事ができる。
肩書こそ「係長」ってな、
なんだか、いかにも日本的な、ぶっさいくな肩書だけど、
アメリカ企業との合弁事業の責任者だった。
下手な「課長」なんかより・・・・
いや、
下手な「部長」より、
社内で仕事ができて、
当然に力もあった。
直属の上司こそ「部長」だったけれど、
それは、建前で、
実際には、役員直轄案件として動いていた。・・・・つまりは、実際には「部長職」に匹敵する立場だってことだった。
年功序列の旧態ゼネコンなので「主任」ってことだ。
目が離せなかった。
最前列。
一際目立つ、
明るく、美しい髪。
頭の中が騒いでいた。
グルグルと、
脳細胞が、
あっち、こっちと引き出しを探し、駆け巡っていた・・・