1ヵ月が経った・・・・

 

 

事故から1か月。

 

 

 

絶えずミラーを見ていた。

 

 

ルームミラー、バックミラー、

 

とにかく「後方」「側面」に細心の注意を払っていた。

 

 

冗談抜きで、前を見てるより、後方を見てる方が多い。

 

 

 

自信を失っていた・・・・

 

自信を無くすというか・・・追い詰められてるというか・・・

 

 

「雪中のインキー事件」

 

 

勝手に車のキーが作動した。

 

 

「2度の事故」

 

 

側面からの追突。

 

後ろからの追突・・・・しかも、信号で止まっていて、だ。

 

 

だから、

 

ボク自身に落ち度というか・・・問題はない。

 

 

・・・と、思う。

 

 

・・・いや、

 

それでも、

 

毎月、毎月、3ヵ月も連続だ。

 

 

ボクに・・・ボクの運転に何か問題があるんじゃないか・・・・そんな風に考えるようになっていた。

 

 

 

もう、

 

正直、

 

 

運転することが怖かった。

 

 

道路を走っている車、全てが「敵」に見える・・・・

 

・・・・ってか・・・

 

 

全てが、

 

 

「ぶつかってくる」

 

 

そんな風に思えてくる。

 

 

 

ウインカーすら出さずに、右に左に進路を変える高齢者。

 

 

身振り手振りで話しながら運転している女の子。

 

 

電話しながら走っているサラリーマン・・・・

 

 

 

道路は「危険」で満ちている。

 

 

改めて、

 

注意して、車を運転していると、

 

 

なんと「危険運転」の多いことか・・・・

 

 

・・・・その、どれもが、

 

 

ふとした瞬間に、

 

ボクに突っ込んでくるような悪夢を想像してしまう。

 

 

 

頭の中には、

 

生々しい事故映像が残っている。

 

 

ロールスロイスが突っ込んできた瞬間。

 

 

ガン!!

 

ドカン!!

 

 

なんとも言えない金属の塊がぶつかる音。・・・思わず、背筋が寒くなる音・・・

 

 

高速のコンクリートウォールにぶつけられ、悲鳴を上げる車。

 

 

ハンドルは効かない。

 

ハンドルを握ったまま、命が流されていく・・・

 

 

急ブレーキの尖った悲鳴。

 

 

・・・・そして、

 

後ろから突っ込まれ、バックミラーが吹き飛ばされる映像・・・・

 

 

 

完全に、

 

 

精神的に追い詰められてしまっていた。

 

 

眠ることもままならなかった。

 

眼の下には、くっきりとドス黒い「クマ」が張り付いていた。

 

 

 

2度あることは3度ある。・・・・・3度が終わったのか・・・

 

 

いや、

 

事故は、まだ2度しか起こっていない・・・・

 

ということは、もう1度やってくるのか・・・

 

 

全ては、1ヵ月ごとに、同じ「日付」で起こった。

 

 

 

・・・・ついに、

 

その日がやってくる。

 

 

 

その「日付」がやってくる。

 

 

ボクは、

 

もう、憔悴しきっていた。