・・・・考えてみれば、
友人を「自死」で亡くすってのは、そんなに多くない経験だろうな・・・・
今は、
ブログ本編では、「不思議物語」ってことで、
人間の「死」にまつわる物語を綴っている。
これを止めてしまった2年を費やし描いてきた。
・・・・あとは、
人間ではなく、
なんだか「不可思議」な存在についてだ。
そもそもの発端は、
コロナ下で、自ら命を絶った親友との思い出を綴ったのが始まりだった。
テラーノベル。
この章では、
別の友達、
まだ、19歳ってな若さで「自死」を選んだ友達のことを描いている。
お互い19歳だった。
・・・だから、
もう、何十年も前の話だ。
なのに、今でもヤツを思い出す。
まぁ、
物語を綴っている・・・・だから、思い出すってのはあるんだろうけど、
今でも、
時折、
フッと、ヤツが頭を過る。
・・・・ズルいんだよ。
ヤツは、高校生のままだ。
屈託のない、
部活で走り回っていた、スポーツ刈りのままの笑顔で現れる。
こっちは、
あれから、何十年という年月を重ね、
もう、
鏡の自分を見るのも嫌になるほどの「オッサン」になってしまった。
身体内部に、
どっぷりと、コルステロールや、中性脂肪や、
ありとあらゆる汚物を、
下水のように溜め込んだ身体で生きている。
今、
あの頃、
高校生の時のように走り回れば、
確実に、心臓がパンクするか、脳がパンクして死んでしまうだろう。
そこまで、衰えた身体で日々を過ごしている。
なのに、
時折現れるヤツは、
黒々とした髪に、
スッキリした首筋、
目の下に弛んだ肉もなく、
計算も何もない、
感情そのままの笑顔で現れる。
仲が良かった。
ボクは、
小学校、中学校、そして高校、
だから、
数少ない、
「友達」といっていい存在だ。
・・・・でも、
どこか、「弟」のような存在で、
・・・・それは、おこがましいんだけどな、
ヤツは成績優秀だった。
クラスで2番、3番・・・そんな成績のヤツだった。
だから、
毎度のテストで、「赤点」ギリギリで逃げている・・・・さらには、「サボり」常習者のボクが、
ヤツを「弟」扱いするのはおこがましい。
・・・・しかし、
どこか、
そういう関係だった。
「頼むな・・・カズ、頼むよ・・・」
それが、ヤツの口癖。
何をボクに頼むというのか、
それでも、
何かれなく、ヤツはボクに意見を求めた。
高校卒業。
就職。
ヤツは、地元の、上場企業に就職した。
学年で「ひと桁」ってな成績がなければ、就職試験すら受けさせてもらえない大企業だ。
そこには「社内学校」があって、
高卒社員を・・・・高卒社員でも、優秀なヤツをそこに入れる。・・・・完全、全寮制だった。
昼間は工場で働き、
夜は授業。・・・・そこを卒業すれば「大学卒」の資格が与えられるって場所だった。・・・・もちろん、その企業でだけ通用する「大学卒」の資格だけれどね。
製造業の大企業には、このシステムを持っているところが多い。
企業の、
将来の、
現場の「幹部候補生」を養成するシステムだ。
就職したときには、
親族全員が「万歳三唱」したってな歓びようだった。
・・・・しかし・・・
ヤツは、その授業についていけなかった。
「学年ひと桁」って成績。
しかし、
それは、
低偏差値の工業高校での話だ。
一般社会で、
上場企業の学校では、全く通用しない。
・・・・けっきょく「自死」を選んだ。
何度か電話をもらっていた。
ボクは、東京での社員寮暮らしだった。
その寮に電話が入っていた。
タイミングが悪くとれなかった。
・・・・折り返しもできなかった。
・・・・ボクは、
ヤツが自ら命を絶ったことを知らされた。
・・・・すまんな・・・・
あんなに、
「頼む・・・・カズ、頼むなぁ・・・」
言われていたのにな、
ボクは、折り返しの電話すらしてやれなかった・・・・
・・・すまないな・・・
すまない。
愚痴を・・・・弱音を聞いてやれればよかったよな・・・
すまない・・・
本当にすまなかった・・・・・
クソッタレ、
笑ってやがる。
18歳の笑顔のままで笑ってやがる。
18歳。
20歳。
・・・・30歳・・・・40歳・・・・
生き続けても、
大人の人生も辛いぜ・・・・
・・・クソッタレ、
また、笑ってやがる・・・・
お前に出会えて、良かった。