「東日本大震災」
1か月後。
東北自動車道が開通して、すぐに彼女に会いに行った。
フラれるために会いに行った。
本当にフラれるために会いに行ったんだ。
震災が起こって、
連絡が途絶えてしまった。
お互い既婚者だ。
気持ちを伝えていなかった。
しかし、震災で連絡が途絶えて後悔した。
気持ちを伝えるべきだったと。
気持ちを伝えたところで、
どうせ、成就はしない。
絶対に、成就はしないと自信を持つほどに、これまで悲惨な人生を送ってきた。
「音信不通」
彼女が生きているのか、亡くなっているのかもわからない。
ただ、悶々とした日々を送った。
・・・・ボクの人生はここで止まってしまうと思った。
「音信不通」
生死の不明な彼女を想い、
ボクの心は、この時間の中で止まってしまうんだと思った。
・・・・それほど深く彼女を愛していると気づいた。
・・・・会ったこともない。話したこともない彼女のことを、
・・・・バカみたいな話だ。
他人が言えば、
「はぁ・・・??」
眉をしかめて、
口を半笑いにしてバカにする。そんな話だった。自覚はあった。
・・・・けど、
まだ見ぬ彼女を、
これほどまでに深く愛していたんだ。
・・・だから、
再度連絡が付いた時、
絶対に会いたいと思った。
肯定的な意味じゃない。
会って、
フラれて、
きれいさっぱり「想い」にケジメをつけ、
人生を前に進めようと思った。
・・・そして、
借金まみれのボクと結婚してくれたお嫁さんと、
大事に大事に、手を繋いで生きて行こうと思った。
「東北自動車道復旧」
すぐに彼女の元に向かった。
会った。
彼女を一目見て、
「あ、完璧にフラれる」
そう思った。
それほどに美しい人だった。
ボクとは、人間の「格」が違う人種だった。
スクールカーストの最上位・・・どころか、頂点の美女。
こっちは、
スクールカースト・・・・その範疇にすら入れてもらえない人間だ。
士農工商。・・・・それに入れてもらえない人間。
それくらいの開きを感じた。・・・・あとで、県単位での「ファンクラブ」があったことを知ることになる。
悲しくもあり、
ホッとしたのも事実だった。
間違いなく終了だ。
大人の恋の終了だ。
進んではならない恋の終了。
チーーーーーン・・・
音が鳴った。
・・・でも、
人生。
良い夢を見たな・・・
宝くじに当たったような夢だった。
そう思った。
・・・・しかし、意に反して、
「一緒にいる」
そう、お互いが約束してしまったんだった。
互いに、泣きながら告白した。
東京に帰る。
彼女に、
会いたくて会いたくてしょうがなかった。
彼女が、
欲しくて欲しくてしょうがなかった。
彼女の旦那に嫉妬し、
彼女の身体を貫きたくてしょうがなかった。
人生で、
これほどまでに欲情したことはない。
「身を焦がす」
それほどまでに雄が滾った。
彼女を貫き、
手の中に、
胸の中に抱きたかった。
・・・彼女が欲しくて欲しくて、
身悶えた・・・
「会いたい・・・」
・・・・しかし、
次に会う日程が決まらなかった。
「もう少し待って・・・」
日程が決まらない。
「もう少し待って・・・」
はぐらかされいるのか・・・
強引に決めた。
会えなかったら、
その時は、その時は、会えないままで引き返す。
そう言って、
半場強引に日程を決めた。
ボクは、新幹線に乗ったんだった。
アルファポリス。
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