ボクたちは、

 

 

「戦争を知らない世代」だ。

 

 

今の子供たちは、

 

 

「戦争をしたことすら知らない世代」だ。

 

 

日本が、アメリカ相手の、

 

世界を相手に戦争したなんて、今の子供たちは知らない・・・想像すらできないんじゃないかと思う。

 

 

 

ボクたちは、

 

 

「戦争を知らない世代」

 

 

育った時は、高度成長で・・・・そこからバブルに突入していくような時代だった。

 

 

ただただ、「豊か」で、

 

 

今日より明日、

 

明日より明後日、

 

 

繁栄、成長が永遠に続くと思えた時代に生きていた。・・・・いや、ウチは貧乏のどん底にいたんだけどさ・・・笑。

 

 

街には、

 

「戦争の爪痕」もなかった。

 

 

・・・たぶん、

 

逆に、

 

空襲で、

 

「跡形もなく」焼き尽くされたので、

 

 

真っ平、

 

何もないところからの復興ができ、

 

戦争の爪痕ってのが見えなかったんだろうな。

 

 

ただ、

 

父方、母方、両方の祖父ちゃんたちは戦争に行っていて、

 

 

多くは語らなかったけど、・・・父方の祖父は何も語らなかった。

 

 

母方の祖父は、ふとしたときに話してくれた。

 

ボクは、祖父から軍の階級を示す「襟章」とかを貰ったりしたんだ。

 

 

祖父ちゃんは、

 

「戦争に行った世代」

 

 

ボクは、

 

「戦争を知らない世代」

 

 

戦後、「昭和」という、豊かさのみを享受した世代だ。

 

 

 

・・・・しかし、親父はどうだったんだろう。

 

 

もちろん、親父は戦後生まれだ。

 

 

しかし、

 

高度成長、真っ只中に子供時代を過ごしたボクとは違う。

 

 

戦後のドサクサの中・・・

まだ、国がどうなるかもわからない。

 

そんなフワフワした時代、

それこそ「何」もなかった時代に子供時代を過ごしている。

 

 

学校生活。

 

「給食」は、まだない。

 

父親が戦争で死んだって生徒たちがいっぱいいる。

 

 

弟、妹を背負って学校にやってくる生徒がいっぱいいた。

 

弁当を持ってこれない生徒がいっぱいいた。・・・・そんな話を聞いたのは最近のことだ。・・・・そして、父から聞いた話じゃない。

 

 

親父は、そんな時代に、小学生になり、中学生を過ごした。

 

・・・・親父は何を思って生きていたんだろうな・・・

 

何を考え生きていったんだろう・・・

 

 

戦争に負け、

 

国全てが焼け野原になり・・・

 

ウチのことを言えば、

 

アメリカ軍、進駐軍がやってきて、

 

 

「農地解放」で、全ての田畑を手放さされた。

財産全てを失った。

 

 

裕福だった家庭から、貧乏へと急転直下の生活となる。・・・・そんな中で、親父は何を考え生きていったんだろう・・・

 

 

 

親父が嫌いだった。

 

大嫌いだった。

 

酒乱。クズ。クソ野郎。ゴミ・・・・ありとあらゆる罵詈雑言の感情が渦巻いた。

 

 

・・・・そして、

 

そんな親父を見たくなくて、

 

虐められただけの田舎には居たくなくて、ボクは東京に逃げた。

 

 

父が死んだ。

 

 

葬式にも出ずに帰郷したボクは、

 

意外な光景を目にする。

 

 

毎朝、仏壇に・・・

 

父の遺影に手を合わせる弟の姿・・・・そして母の姿だった。

 

母は、毎日ご飯すらあげていた。

 

 

 

酒乱。クズ野郎。クソ野郎。ゴミ・・・・

 

 

そう思っていたのはボクだけだったのか・・・・

 

 

母は、

 

弟は、

 

父を憎んではいなかったのか・・・・

 

 

知らなかった父に気づく。

 

 

 

テラーノベル。

 

 

「父を愛した」父を憎んだ。

 

 

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