父が嫌いだった。
・・・・同じように母が嫌いだった。
運命に、ただ翻弄されている、
ただ、オロオロとしている母が嫌いだった。
気がつけば病院にいた。
微かに覚えている。
身動きできない身体。
いくつかのチューブで括りつけられた身体。
ボンヤリとした視界。
頭を撫でられていた・・・・
ふと気づく。
抱かれていた。
グッタリとしたボクは、母に抱かれていた。
背中をトントンされ、
頭を撫でられ、
母の胸の中で抱かれていた。
「仮死状態」で生まれてきた。
未熟児。
保安器に入れられた。
・・・・なんとか生き延びて退院するも、
すぐに「小児喘息」の発作を起こして入院。
・・・・退院・・・・そして、また入院。
常に母がいた。
母に生かされた。
小学校。
中学校。
・・・・そして高校。
モノが食べられなくなり、
なかば、不登校の日々。
食べられたのは、
インスタントラーメンと、
そして、
「母の餃子」
なんとか、高校を卒業。
「虐め」しかなかった田舎町を棄てた。
長男の役割、
その全てを棄てて、
田舎から逃げ出した。
喜び勇んで東京で就職した。
・・・・・ところが、
その東京で、
また、メシが食えなくなった。
虐めを受けていた日々、
それと同じ症状に陥った・・・・・
「嫌い」
「好き」
しょせん、そんなものを超越したのが、
親子、兄弟の関係なんだろう。
テラーノベル。
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