「初めてのSEX」

 

 

・・・・・なんだろうな・・・

 

 

今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

ラブホテルじゃないし、

 

普通のコテージだし・・・

 

 

さらには、昼間だ。

 

 

川に面した部屋。

 

 

一面サッシ。

 

 

レースのカーテンが引かれていて、

 

そこから、穏やかな春の陽が差し込んでいる。

 

 

明るい部屋。

 

 

彼女の髪の毛が逆光で輝いていた。

 

真っ白な裸体と相まって、

 

全く「性的」なものは感じない・・・

 

 

もちろん、

 

グラビアアイドルみたいに、抜群にプロポーションがいいとか、そういうんじゃないんだけど・・・

 

 

なんだか、「神々しい」って感じに思えたんだよな・・・

 

 

ボクが、「神格化」しちゃってる部分はあるんだろうけど・・・

 

 

「神格化」はお互いだったんだろう。

 

 

お互いが、

 

どこかで、

 

お互いを「理想化」しちゃってる部分はあったんだろうな。

 

 

それは、

 

 

「東日本大震災」

 

 

その劇場効果みたいなものもあったんだろうな。

 

 

 

SEXして・・・

 

 

ボクにとっては、

 

 

「念願叶って」って感じで・・・

 

 

人生で、

あり得ない奇跡が起こった。

 

 

そんな感じだったなぁ・・・

 

 

ボクの人生は、

 

嫌な事、

 

苦しいこと・・・

 

 

マイナスな事ばかり・・・

 

 

小学校から虐められて、

 

最後は、自殺未遂までやらかしたからな・・・

 

 

そして、

 

挙句は、

 

 

大人になってからも、騙されるように億単位の借金を背負った。

 

さらには、自己破産すら許されないという地獄に堕とされた。

 

 

どこにも、「良い思い出」ってのがない人生だった。

 

 

積極的に自殺しようとも思わないけれど、

 

「生きたい!」

 

そう思う人生でもなかった。

 

 

 

・・・・そこに起こった奇跡の出来事だった。

 

 

これまでの「苦難」の人生は、

 

 

全て、

 

この瞬間のためにあったんじゃないか・・・・

 

 

それでも、釣り合うほどの、

 

言葉にできないほどの「幸福感」を味わった出来事だった。

 

 

 

・・・・そして、

 

 

ふたりで「堕ちて行った」

 

 

快楽の、あまりにも深い谷底に。

 

 

 

SEXって、

こんなに凄いものなのか・・・・

 

 

そう知らされた。

 

 

確かに、

 

 

虐められっ子で、

 

 

間違いなく「非モテ」

 

 

にもかかわらず、

 

 

年上の女の子、

 

年上の女の人の「オモチャ」にされるという、

 

 

なんだか、

 

 

数奇な生い立ちだった。

 

 

まともに、

 

「彼女」ができるってことが、あんまりないわりには、

 

 

「SEX」に困らないというか・・・

 

 

なんか、変な生い立ちだった。

 

 

 

なんなんだろうな・・・

 

 

間違いなく「非モテ」だ。

 

 

にもかかわらず、

 

 

「性被害」みたいなものにはあう。

 

 

バスの中、電車の中で痴漢にあったことがある。・・・・「痴女」ってやつか?笑。

 

 

なんなんだろうな・・・笑。

 

 

なんか、

 

身体から出てるのか???笑。

 

 

笑ってられない。

 

 

いや、

 

 

「女の人」からなら、

 

まぁ、

 

なんとなく笑ってられる。

 

 

・・・・が、

 

ジャニーズばりの、

 

 

男からの「性被害」

 

餌食になりそうなこともあった。

 

 

 

・・・いやぁ・・・あれは、気持ち悪かったなぁ・・・・

 

 

 

でも、

 

確かに、

 

 

そのおかげで、

 

 

・・・・女の人から「オモチャ」にされてきたことで、

 

 

「SEXのツボ」みたいなことは教え込まれてきた。

 

 

女性の、

 

 

「快楽のツボ」

 

 

みたいなものは、叩き込まれてきた。

 

 

 

それで、

 

 

なんだか、

 

 

SEXなんて、解った気がしてたんだよな。

 

 

解ったってか・・・

 

 

SEXなんて、

 

日々、そんなに深く考えはしないじゃない?

 

 

ご飯食べるのと同じだからさ。

 

 

 

あそこの寿司は美味しい。

 

やっぱり、ステーキは・・・

 

 

その程度の世界だよな。

 

職業として選んでるわけじゃないから。

 

 

日々、そんなに真剣には考えていないよ。

 

 

 

・・・・ところが、

 

 

彼女とのSEXは、全く違っていた。

 

 

今までの、人生で経験してきたSEXとは、

 

 

全く「別次元」があった。

 

 

 

・・・・いや、

 

 

具体的に、

 

 

テクニックとか、そういうんじゃない。

 

 

別に、特別なことは何もしていない。

 

 

 

ただ、

 

 

感じ方が・・・・

 

 

快楽の深さが、全く違ったんだった。

 

 

「別次元」だという他なかった。

 

 

 

・・・・ちょっと・・・

 

「例え」

 

は違うのかもしれないけれど・・・

 

 

 

同じ料理でも、

 

同じ、

 

「肉じゃが」って料理でも、

 

店によって全く違うじゃない?

 

 

「美味しい」

 

「不味い」

 

あったりするじゃない?

 

 

あと、

 

 

ビックリすることあるじゃない?

 

ビックリするほど旨いってことだ。

 

 

 

「卵かけご飯」

 

 

 

ご飯に卵をかけるだけ。

シンプルの頂点のような料理。・・・・料理とすら言えない料理。

 

 

ところが、

 

 

米を吟味し、

 

卵を吟味し、

 

醤油を吟味し、

 

さらには、作り方。・・・・そして、全てのタイミング・・・作るタイミングも当然として、

 

食べるほうのタイミングも含め。

 

 

全てを、とことんまで追求すると、

 

3星のフレンチを凌駕するってことがあるじゃない?

 

 

「食べる」ってことが、

 

 

「感動」を生むまでに昇華することって、人生にあったりするじゃない?

 

 

 

・・・・なんか、

 

あの経験に近いものかもなぁ・・・・

 

 

 

SEXが、

 

全く、別世界の行為になってしまった。

 

 

 

・・・・答えは、出てたんだけどね。

 

SEXを、別世界に押し上げた要因。

 

 

それは、

 

 

「愛してる」だった。

 

 

「愛してる」

 

 

それが、要因なんだと思った。悟った。

 

 

 

・・・でも、

 

じゃあ・・・・

 

今までのSEXって、

 

いったい、何だったんだろうって思った。

 

 

・・・・同時に、

 

 

今までの「愛してる」って、

 

 

いったい何だったんだろうって思った。

 

 

今までの「愛してる」

 

 

それは、

 

 

単なる「大好き」でしかなかったんじゃないのか・・・

 

 

「好き」の延長線上にある、

 

最上級の「好き」

 

それを、

 

「愛してる」と勘違いしてただけなんじゃないか・・・・

 

 

 

「好き」

 

最上級の「大好き」

 

 

でも、

 

 

「好き」

 

 

「愛してる」

 

 

それは、全く別世界のことなんだよ。

 

似てるけど、

 

全く、別次元のことなんだよ。

 

 

「好き」では、地球は救えないけど、

 

 

「愛してる」なら、世界平和が実現しそうだ。

 

・・・・それほど、「愛してる」ってのは、重たい、崇高なものなんだ。

 

 

 

・・・なんだか、

そんなことを考えさせられちゃったんだよな・・・・

 

 

 

「東日本大震災」

 

 

ボクが東北に行って、

 

彼女に会えたのは、2日間だった。

 

 

・・・・しかし、

 

その2日間。

 

 

昼ごはん。

 

デザート。

 

 

それ以外の時間は、

 

全て布団で過ごした。

 

 

ず~~~~~っとSEXしていた。

 

 

いったい、何時間SEXしてたんだろう、

 

そして、何回したんだろう。

 

 

男の射精には限りがある。

 

しかし、女の果てには際限がない。

 

 

・・・それでも、ボクは射精という行為を1日に4回はできたんだと思う・・・・もちろん、人生で初めての経験だった。

 

そして、女として際限なく果てられる彼女は、ボクの10倍以上は堕ちていった。

 

 

 

脳内は、

 

「幸福ホルモン」が出っぱなしだったんだろう。

 

 

経験したことがないけれど、

 

「麻薬」をやったときは、あんな感じなんじゃないかと思う。

 

 

・・・・そういえば、

 

 

SEXしてる時と、

 

麻薬を使用してるときは、

 

脳内では同じ作用が起こってるっていうものな。

 

 

最大限の「幸福感」に包まれるってことなんだろう。

 

 

・・・・あの時は、

 

身体の全てが「SEX」で埋まっていたんだろう。

 

 

人間、

 

SEXしてる最中だって、いろんなことを考えていたりするじゃない。

 

特に、女の人はそうらしいよな。

 

 

「没入」はしないものらしい。

 

 

「恥ずかしい」顔は見られたくない。

 

 

「恥ずかしい」恰好は見られたくない。

 

 

匂いが気になる・・・・

 

 

そんな、いろんな「邪念」があるらしい。

 

 

 

・・・・しかし・・・

 

あの時のSEXには、

 

 

お互い、

 

 

全く邪念がなかった。

 

 

100%・・・・いや、120%

 

 

身体の、全ての感覚・・・・全ての機能をSEXに捧げていた。

 

 

そして、

 

互いに、

 

とてつもない、

 

 

「幸福感」に包まれていたんだ。

 

 

 

・・・・・しかし、

 

 

「愛してる」

 

 

ならば、SEXは気持ちがいいのか。

 

 

性格の相性。

 

身体の相性。

 

 

別物だとよく言われる。

 

 

・・・・本当に、そうなのか・・・・

 

 

 

身体の相性が悪いのは、

 

 

本当は、愛してないからじゃないのか・・・・?

 

 

・・・・だったら、

 

逆は、どうなんだろう・・・・?

 

 

「愛してる」

 

 

「愛してる!」

 

 

「愛してる!!」

 

 

 

・・・・本当は、

 

 

「体の相性」が良いだけなんじゃないか・・・・?

 

 

 

もし・・・

 

もしも・・・

 

 

・・・・あの時・・・

 

初めて東北に行って、

 

初めて彼女に会って・・・

 

あの時、

 

 

あのSEXを経験しなかったら・・・・・

 

 

普通の・・・「可もなく不可もない」

 

 

そんな、ありきたりのSEXだったなら・・・

 

果たして、

 

話の展開は同じだったんだろうか・・・・

 

 

 

「愛してる」

 

 

それが、「別次元」のSEXを生むのか。

 

それとも、

 

「別次元」のSEXが、

 

 

「愛してる」を生むのか・・・・

 

 

 

卵が先か。

 

鶏が先か、

 

 

・・・・はたまた、

 

 

たまたま、

 

 

性格の相性が良くて、

 

身体の相性も良かった。

 

 

ただ、それだけのことなのか・・・・

 

世間でよくある話でしかないのか・・・・

 

・・・いや、

 

よくある話にしては、

 

あまりに不思議な話だった・・・・

 

 

 

「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。

 

 

 

この、

解けないだろう疑問から、告白を始めたんだった。