「今度は、手を繋いで桜を見たい・・・・」
・・・しかし、
なかなか日程が決められなかった。
「東日本大震災」
その最中に会った。
まだ、
絶えず、地面が揺れる中で会った。
「一緒にいたい・・・」
お互いに思った。
「今度は、手を繋いで桜を見たい・・・・」
そう言って別れた。
・・・しかし、
そこから、なかなか会えなかった。・・・・いや、会う日程が決められなかった。
彼女の旦那さんの休みの日がわからないから・・・・まさか、旦那さんの休みの日に会うわけには・・・
ホテルでSEXするわけにはいかない・・・
・・・・絶対に、どこかでボロが出る。
その通りだ。
・・・しかし・・・
それを理由として、避けられてるんじゃないか・・・・
そう思うようにもなっていた。
「このあとも一緒にいたい・・・」
あれは、一時の感情・・・・一時の気の迷いだったんじゃないか。
彼女は、距離を置こうとしてるんじゃないか・・・
「東日本大震災」
劇場効果のようなものもあって、
この後も、一緒にいたいと思った。
・・・・しかし、
時間が経っていけば、
冷静さを取り戻していけば、
気の迷い。
恐怖の心に魔が差した。・・・・単なる、ひと時の「過ち」
・・・・所詮は「不倫」の関係だしな・・・
「会いたいのはボクだけ」
そんな風に思うようになっていた。
疑心暗鬼になっていた。
これが、恋愛経験の少なさ。
「非モテ系」の悲しさだよな。
彼女が好きだ。
愛している。
毎日毎日・・・・毎晩毎晩・・・・彼女を想って、
身体は猛り狂った。
彼女が欲しくて・・・
彼女を愛したくて・・・・
彼女を貫きたくて・・・
彼女への禁断症状に身を焦がした。
ボクは、
もう、
彼女ナシでは生きていけなかった。
彼女を抱けなければ生きていけない・・・
そこまでの身体となっていた。
少し強引に日程を決めた。
ダメならダメでいい。
もし、無理だったら、会わずに帰る。
そう決めて、新幹線を予約してホテルをとった。
幸い、彼女と会えた。
再会した。
・・・・考えてみれば、まだ、初めて会ってから1ヵ月も経っていなかった。
美しかった。
夢に見るほどに恋焦がれた彼女がいた。
彼女の笑顔に痺れた。
彼女の車で走る。
ふたりっきりになれる場所を求めて走る。・・・・ラブホテルを探して走った。
朝。
道路は通勤ラッシュだった。
当たり障りのない話をしていた。
つまらない。
どーでもいい話。
・・・・ボクは、
運転する彼女を盗み見ていた。
会話は、
話はどーでもよかった。
運転する彼女。
伸びやかな腕。
魅力的なジーンズの長い脚。
朝陽に輝く髪。
・・・・話す彼女の唇。
盗み見ていた。
今すぐ抱きたかった。
今すぐ、彼女の舌を味わいたかった。・・・舌を絡めたかった。
今すぐ彼女を貫きたかった。
彼女の身体で快感を得たかった。
彼女に快楽の鳴き声を上げさせたかった。
彼女の膣に思いのたけ射精したかった。
・・・・ボクは・・・
ボクは・・・
助手席から眼で彼女を犯し続けていた。
「SEXしたい!!」
それだけを思っていた。
・・・・しかし・・・
そう思っているのはボクだけか。
欲情しているのはボクだけなのか・・・
SEXしたい!!
どころか、
「会いたい」
それすら、ボクだけの思いなのか・・・
彼女はにこやかに話す。
窓から陽が入っている。
彼女の笑顔は春の陽だった。
後ろめたさや・・・悪意や・・・
もちろん「欲情」などといったものは微塵も感じなかった。
彼女は、下世話なものとは無縁の世界に存在していた。
朝の渋滞。
道路は動かない。
ラブホテルは見つからない。
車内、次第に重い空気が流れていった。
沈黙が支配していった。
アルファポリス。