ラブホテルを探して、

 

朝の通勤ラッシュの中を走る。

 

 

 

車内。

次第に沈黙が支配していく・・・

 

 

 

ボクは、

 

助手席から、

 

ずっと彼女を盗み見ていた・・・

 

 

彼女を視姦していた・・・

 

ずっと彼女を眼で犯していた。

 

 

早く・・・

 

早く、彼女を貫きたくて身体が猪きり立っていた・・・

 

 

 

やっとのことでラブホテルを見つけた。

 

チェックインを済ませてエレベーターに乗り込む。

 

 

無言。

 

 

渋滞。

途中から無言だった。

 

 

我慢が限界を超えていた。

 

 

つまらない話をする余裕もなくなっていた。

 

 

ボクは、

 

ただ、彼女を貫きたかっただけ。

 

彼女を抱くこと、

 

彼女とSEXすること。

 

それだけが、身体全てに横溢していた。

 

 

沈黙だった車内。

それが、ホテルの中、エレベーターの中でも続いていた。

 

 

・・・しかし・・・

 

手を握っていた。

 

指を絡め合っていた。

 

5本の指全てを絡め合っていた。

 

 

部屋に入る。

 

鞄を放り出す。

 

すぐに彼女をベッドに引きずり込んだ。

 

 

「舌ちょうだい・・・・」

 

 

彼女は素直に従った。

 

 

敢えて彼女に舌を差し出させ、

 

その舌を絡め取った。味わった。

 

彼女のエキスを舐め取っていく・・・・

 

 

 

彼女の、

 

ジーンズの長い脚がスルッ・・・スルッと交差する・・・・

 

 

その動作の真意がわからなかった・・・・

 

 

 

キスが止まらない。

 

 

彼女への禁断症状だった。

 

 

毎日毎日、声だけで我慢してきた。

 

 

足らない・・・

 

 

足らない・・・

 

 

リアルな彼女が欲しかった。

 

 

彼女の体温・・・・彼女の質感・・・

 

 

何より、

 

 

彼女を貫きたかった。

 

 

彼女を貫き、

 

彼女の・・・血潮の脈打つ肉壁に包まれたかった。

 

 

 

しかし、

 

 

舌で足止めを食らった。

 

 

あまりに、魅力的な、絹の肌障りの舌・・・

 

 

滑らかに、

 

しなやかに蠢く舌。

 

 

溢れる唾液が交換される・・・

 

 

「愛してる」が交差する。

 

 

触れた、

 

絡めた舌先から「愛」が入り込む・・・・

 

「愛」を、

 

これでもかと注ぎ込む・・・・彼女の唾液を啜った・・・

 

 

 

「・・・・もうダメ・・・・」

 

 

 

彼女が呟く・・・

 

長い脚がスッ・・・スッ・・・合わさり蠢く。

 

 

 

「早く欲しい・・・・」

 

 

 

スルリ・・・スルリ・・・・脚が蠢く。

 

 

・・・蠢く脚の意味がわかった。

 

 

 

「SEXしたい」

 

 

それは、

 

 

ボクだけの思いじゃなかったんだ。

 

 

車内の沈黙は、

 

 

彼女も焦れていたからだった。

 

 

 

「早く欲しいぃーーーーー!!!」

 

 

ベッドの上。

 

長い脚をバタつかせる。

 

駄々っ子となった彼女がいた。

 

 

 

これほど求められたのは、人生で初めての経験だった。

 

 

・・・・もちろん、

 

 

これほど求めたのも、だ。

 

 

 

アルファポリス。

 

「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。