気が狂ったようだった。

 

 

映画やドラマ・・・

 

 

「物語」の世界では、

 

狂ったようにお互いを求め合うシーンはある。

 

 

特に、洋画では・・・

 

 

愛撫も何もなく、

 

ただ、もどかしく、

 

すぐに挿入して、

 

同時に舌を絡め合う・・・

 

 

そんなシーンには、よくお目にかかる。

 

 

しかし、

あんなことは、現実世界ではありはしない。

 

 

そう思っていた。

 

 

「演出」だろう、と。

 

 

あるいは、・・・まぁ、「人種」の問題もあるのかな・・・と。

 

 

なんだか、「肉食」の、欧米人には、んなことがあっても、

 

やっぱり、

 

どこか、「奥ゆかしさ」の残る日本人には、あーゆーシーン・・・あーゆー行為はないと思っていた。

 

 

 

・・・その「行為」を行っていた。

 

 

そんなSEXをしていた。

 

 

 

もどかしかった。

 

 

もどかしい・・・

 

 

愛撫をすること・・・愛撫の時間さえもどかしい・・・

 

 

もう、服を脱ぐことすらもどかしい。

 

 

触れたい・・・

 

触れていたい・・・

 

 

身体全てで触れていたい・・・

 

 

 

何よりも、

 

 

「ひとつになりたかった」

 

 

 

 

ラブホテル。

 

部屋に入る。

 

バッグを投げ捨てベッドにもつれ込む。

 

 

互いに、

 

下半身だけを剥き出しとして、

 

 

「ひとつになった」

 

 

 

まずは、

 

 

「ひとつになること」

 

 

 

愛撫なんぞいらない。

 

 

駅で会う。

 

 

車内。

 

同じ空間に存在していることが、すでに愛撫だった。

 

 

助手席から、散々に愛撫を加えた。

 

助手席から、散々に、彼女を眼で犯した。

 

 

 

ベッドの上。

 

 

彼女の下半身を剥き出しに・・・

 

ショーツを剥ぎ取った時には、

 

すでに彼女は愛液で糸を引いていた。

 

 

ボクは、

 

すでに、弾けるほどの硬さと発熱を放っていた。・・・・水を垂らせば、ジュッと音がするほど滾っていた。

 

 

そのままひとつになる。

 

彼女を貫いていく。

 

 

彼女の中に芯を通していく。

 

 

抽送など与えてやらない。・・・ただ、一方的に膣を押し拓いていくだけ・・・引き裂くように貫いていく・・・・

 

3ヵ月ぶりのSEX

 

処女となった膣径を確認するように進む。

 

 

彼女が、仰け反り、絶叫を放つ。

 

 

ミリミリと・・・ミシミシと・・・脳に届くまでに撃ち拓く。

 

 

 

動物。

 

 

野生の雌と雄の絶叫。

 

 

獣の交尾の様。

 

 

下の口。

 

彼女を深く貫き、ひとつになる。

 

 

同じように、

 

上の口でも、互いを求めて舌を絡め合う。

 

 

唾液と愛液が飛び散り、馴染み合う。

 

 

・・・・身体がひとつに溶けていく・・・・

 

 

 

そこから、

 

ようやく、

 

安心したように愛撫が始まる・・・・・

 

 

 

愛することが幸せだった。

 

 

愛されることが幸せだった。

 

 

互いの口で、指で・・・・全てを使って愛することが、互いの幸福だった。

 

 

自らの愛撫で、相手が狂っていくことが、何よりの幸福だった。

 

 

いつまででも愛していたかった。

 

 

一緒にいる時間全て。

 

 

時間の限り彼女を愛した。

 

時間の限り彼女に愛された。

 

 

 

たぶん・・・

 

 

 

「ひとつの身体」だったんだ。

 

 

本来は、

 

 

「ひとつの身体」だったんだ。

 

 

 

それが、

 

離れ離れ、

 

ひとつの身体を強制的に、「ふたつ」に引き裂き生活していた。

 

 

本来なら、「ひとつの身体」だ。

 

 

元の「ひとつの身体」に戻りたい。

 

 

「ひとつになりたい」

 

 

互いに、それだけを願って日々を生きていた。

 

 

だから、

 

いつだって、

 

部屋に入れば、すぐに「ひとつ」に・・・いっこの物体になることを求めた。

 

 

互いの、

 

 

「帰る場所」

 

 

存在するべき場所に戻った安心感があったんだ。

 

 

 

・・・・文学的表現をすれば、そういうことになる。

 

 

しかし、

 

下世話な話をすれば、

 

 

 

「ただ、SEXが気持ちよかった」

 

 

「身体の相性が良かった」

 

 

 

そういうことになるんだろう。

 

 

 

これまで、

 

数少ないながら、

 

 

女の子と付き合ったことはある。

 

 

・・・確かに・・・

 

 

やっぱり、

 

 

「身体の相性」

 

 

良くないと、

 

長続きはしないよな。

 

 

 

SEXって・・・

 

 

んと、

 

 

「相性」だと思う。

 

 

好きな相手からなら、「愛の行為」でも、

 

 

嫌いな相手からなら「セクハラ」だ。

 

 

 

同じように、

 

 

同じ SEX でも、

 

 

相性によっては「不快」になってしまったりする。

 

 

 

勉強とは違う。

 

 

 

「偏差値」があるわけじゃない。

 

 

 

「普通」が、

 

 

人の数だけある。

 

 

ある人間の「普通のSEX」が、

 

 

別の人にとっては、「異常なSEX」だったりする。

 

 

 

「性感帯」も、人によって違うしな・・・

 

 

難しい世界だよ。

 

 

 

本来は「ひとつの身体」として生まれてくる存在だったんだ。

 

巷に流行りの、

 

 

「スピリチュアル」な言い方なら、そういうことだ。

 

 

 

・・・・しかし、

 

下世話な言い方をすれば、

 

 

SEXの相性が気が狂うほど合っていた。

 

 

 

どっちが、正しいかはわからない。

 

 

 

・・・・しかし、

 

 

 

そんな相手と、

 

お互いが、

 

結婚した後に出会ってしまったんだ・・・・

 

 

 

アルファポリス。

 

「崩壊の街」ボクは不倫に落ちた。