「運命の出会い」
か、
ただ、「SEXの相性が良い」ってだけか。
もう、いい大人だ。
恋に恋する子供じゃない。
夢見る夢子ちゃんではない。
・・・・しかも、
ボクの人生は、
肉体的にも、精神的にも、
「生きるか死ぬか」
そんな、境界線を、タイトロープに、
今更、
なまじっかな出来事で、希望や、未来を夢見たりはしない。
だから、
彼女とは、
身体の相性が・・・・
とにかく、「SEXの相性」ってやつが、究極的に合っているんだろうと思った。
「SEXの相性」って、難しいからな・・・・
何回も言ってきた通り、
同じ行為でも、
「気持ちいい」
「最悪だ」
人によって感じ方が違う。
簡単に、
短絡的に言えば、
「S指向」の人間に、
「M的」責めを行っていっても、
全く感じないし・・・・・どころか、「怒り」が湧いてしまうことすらある。・・・・・マジな喧嘩になってしまう。
「いや・・・・ダメ・・・やめて・・・・」
感じているのか、
マジで「やめろ!」
なのか、
その判断は難しい。
そして、
個人の「性的指向性」ってのは、千差万別だ。
だから、
彼女とは、
「性的指向性」が、120%の合致をみたんだと思っていた。
・・・・もっとも、
そこにも「不思議」があって、
彼女は「SEX嫌い」だった。
SEXとは、
主婦の家事、務めであって、
できれば、やりたくない家事ってものだった。
だから、
正常位しか許さないし、
お口でするなんて「論外」って女性だった。
・・・・だから、
「性的指向性」が、合っていた・・・・という言い方は正しくない。
彼女の「眠っていた」
隠れていた「適性」のようなものを引き出していった・・・・そういう言い方の方が正しいんだろう。
・・・・この部分も、
SEXの不思議であって、
奥の深い部分なんだけどな・・・・
しかし、
奇跡だった。
「愛してる」
真面目に、
「死ぬほど愛していた」
・・・・・もちろん、
「東日本大震災」最中。
その「劇場効果」が、精神的な影響を及ぼしているのも自覚はしていた・・・・・しかし、それを差し置いても、
「死ぬほど愛していた」
・・・・・そして、
そこに「性的指向性」が、120%で合致する。
もう、
これだけで十分な奇跡の出来事だった。
ボクは、
ここまでで「思考停止」にしようと思っていた。
それで、十分な奇跡だったし、
元来が、
何度も言っている通り、
ボクは、
「神を信じない」
そう思って生きてきた。
もうクドクド説明はしない。
だから、
簡単に、
「魂のパートナー」
だとか、
「ソウルメイト」
だとか、
そんな胡散臭い文言を言いたくはないし、
信じもしない。
今まで、
人間を信じて、
ただの、
「SEXの相性」が抜群の相手。
そして、
「死ぬほど愛してる」女性。
それ以上は考えないようにしていた。
・・・・しかし、
彼女とは、
あまりに、不思議なことが多かった。
彼女が泣いている時。
ボクにはわかった。
最初は、震災の最中に起こった。
それから、
彼女の精神は、ボクの精神にリンクしていた。
不思議なエピソードはいくつもある。
彼女のお母さんと、
ボクのオカンとの「誕生日」は同じだった。
誕生日には、もういっこ「オチ」があって、
劇中には触れていないけれど、
実は、
ウチの親父も同じ誕生日だった。
そう、
ウチのオカンたちは、
夫婦で同じ誕生日だったんだ。
・・・・そして、彼女の父親と、ウチの親父とは、
その「系譜」に、微妙な繋がりがあることもわかっていく・・・・
彼女は東北。
ボクは関西が地元だ。
にもかかわらず、
親父同士が、どうにも「根っこ」が同じ出自だったんだ。
だからどうした???
そんな話ではあるけれど、
「何かの因縁」めいたものは感じずにはいられなかった。
・・・・そして・・・・
この物語には、
「桜」が、事あるごとに重要なシーンを飾ることになる。
象徴というか・・・・
背景。
風景として、
「桜」が重要な要素を占めている。
「東北大震災」
最中の、
それでも、美しく咲き誇った東北の桜の風景。
山々に咲く、桜の風景は、巷の瓦礫の山とは、全くに、別次元で美しかった。
震災最中。
ボクは、彼女に会いに行った。
その時に見た、
山の中。
吹雪に晒される桜の樹。
思わず、涙が零れるほどに、孤高の美しさを見せていた。
・・・・・中でも、圧巻だったのは、
別れのシーン。
ボクが、最後にコンビニで彼女に電話するシーンでの、桜の風景だった。
コンビニ。
幼稚園脇。
園児たちの歌声が響く中で見た、咲き誇った桜の花。
ボクの人生で、
決して忘れられない風景だ。
・・・・そして、
互いに、
泣きながら、
「今度は、手を繋いで桜を見たい・・・・」
そう言って、
互いに、不倫の恋に落ちることを告白したんだった。
ボクにとって、
彼女は、「桜」だった。
なぜだか、
「桜」が、彼女のイメージとして頭に入り込んでいた・・・・・これは、リアルに「会う」前からだった。
ブログで知り合い、
メールでやり取りをするようになって、
すぐに、
ボクの中で、
彼女は「桜」になった。
・・・・そして、
・・・・彼女は・・・
彼女の系譜は、
「山の民」
「桜守」の末裔だったのだ。
まだまだ描けない・・・・描いてしまえば、個人が特定されてしまう不思議な話・・・・不思議な「因縁」のエピソードは数限りなくあった。
徐々に、
徐々に明らかになっていく、互いの素性・・・・そして、親和性。
・・・・・これは、
神に仕組まれた。
神の命ではないのか・・・・・
互いに、そう思うしかなくなっていったんだった・・・・・・
ふたりのSEXは・・・・
どこか、
「神の儀式」
そんな精神性を持つようになっていった・・・・
確かに、快楽に溺れた。
ただ、獣のように悦楽を彷徨った。
・・・・しかし、
心底で、
荘厳な・・・・神聖な儀式の様があったんだった。
・・・・この経験だけで、
ボクの人生は、
随分と、
生きるに値するものだと思えるようになった。
「生きてきて良かった」
そう思える人生の物語だった。
アルファポリス。