資格試験では、似たような法律や条文なのに、違う部分があると、出題されやすいものです。
以下は、平成29年社労士試験の択一式、労災の第9問(徴収法)の選択肢Cです。
「労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の過半数が希望するときは、労災保険の任意加入の申請をしなければならず、この申請をしないときは、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。」
この選択肢は誤りです。
「労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の過半数が希望するときは、労災保険の任意加入の申請をしなければならず」の部分は合っていますが、その申請をしないときも、罰則はありません。
※ この選択肢のある問題は、他の選択肢で正答が出せるためこの選択肢の正誤は得点に直結しませんでしたが、過去問は次に同様の問題が出題された場合、ちゃんと学習したかどうかで差がつきます。
なお、雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときは、雇用保険の任意加入の申請をしなければならず、この申請をしないときは、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
労災と雇用では、「過半数の希望」か「2分の1以上の希望」かが異なります。
また、加入申請をしない場合の罰則の有無が異なっています。
雇用保険には罰則があるのに、労災には罰則がない。
どちらに罰則があるのか混乱する受験生もいるかもしれません。
労災に罰則がないのには、以下の二つの理由があります。
① 労災の適用がなくても、労働基準法の保護がある。
② 特別保険料の徴収によって特例的に事故発生後の加入を認める制度になっている。
上記のように理由まで理解して覚えると、どちらの法律の場合に罰則がないか混乱することがなくなります。
社労士試験に限らず、資格試験では、似たような法律・条文・規定であるにもかかわらず異なっているところは出題されやすいのです。
そのような場合は、なぜ異なっているのか?その理由を考えてみると良いのです。
なぜ違っているのかの理由がわからない場合、予備校に通学している方は、講師の方に質問すると良いと思います。
【結論】類似事項の異なるところは出題されやすい。
なぜ違うか理由を考えて学習する。
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