「うぅ~ん・・・なんか気に障ること言ったかしら・・・私。」
大きな独り言を言いながらキョーコはベッドとの上に座り足をぷらぷらさせていた。


さっき、先輩俳優の周りの温度が急に下がった。
もう少し一緒に話をしたかったけど、なんとなく社交辞令のような気がして、自宅に帰ると言ってしまった。


・・・やっぱり・・私・・だよね。
何がいけなかったんだろう・・・


考えても答えが出ないことに気が付き、社さんにそれとなく聞いてみようと思うと、少しだけ安心できた。


ベッドに寝転がり、両手を上にかざすと今朝がた見た夢を思い出した。
そうだ、どんな夢だったっけ・・・

なんか・・ふわふわして・・心地よい香りがして・・・

そして、優しい声に起こされるような・・・そんな夢だった気がする・・。

そして、その夢を思い出すのと同時に、それが誰だったのか思い当たる人物が頭をよぎり、キョーコは深く眉間にしわを寄せた。


・・なんか危険だわ・・・。
自分の頭の上を払うような仕草をして、その想いを払拭した。



さ、明日も学校・・・。
まさか普通科の男の子と知り合えるなんて嬉しかった。この学校で始めて友達と呼べる人ができるかもしれない。そう思うと心はワクワクしていた。


でも、携帯電話・・やっぱり教えるのはもう少し考えよう・・。


敦賀さんが 携帯電話持っているんだ と言って驚いた顔をしたのは・・どういう意味だろう。
私の携帯の番号を知りたいとは思えないし・・・。
でも、私用の携帯電話の番号・・・本当は敦賀さんに伝えたかった・・・。


「私・・敦賀さんに電話番号伝えたかったんだ・・・。」
悩んでいてもしょうがないと思い、キョーコはさっそく携帯電話を手にして、蓮にメールを打ち始めた。


「いらなかったら、登録しないだろうし・・・。」
送信してすぐにそんな一言をいって、自分を励ますと5分もしないうちに携帯が鳴った。


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こんばんは、最上さん
今から電話しても平気?
――――――――


そのメールを読んで、キョーコはあわててメールを返した。
その数秒後、待っていた携帯電話が鳴る。


「・・はい、最上です・・。」


「こんばんは、最上さん・・。」
優しい魅惑的な声が聞こえてきた。