すっかり掲載されていると思っていたのに・・・

なぜ下書きに入っているんだ「氷の美貌(76)・・」

というわけで、お待たせしました!!



いってらっしゃいませ









繋がれた手が、自分の意志とは無関係に意識が集中していた。
この温もりを離したいのに、そうできない自分にイライラしながらキョーコは蓮から視線を逸らして、その横に座っていた。


「あ、あの・敦賀さん?・・一度・・ゆき・・社さんに連絡しますので、手を離してもらえないでしょうか?」


「電話なら・・そこの携帯を使ってもらって構わないよ・・短縮01が社さんだから・・・・」


瞳を閉じたまま、少し辛そうにそうに応える蓮に、キョーコは心の中でため息をついた。

「えぇ・・とその・・では、椅子を持ってくるので・・ちょっと・・」


「クス・・ダメだよ・・この手は離すつもり・・ないから・・」


キョーコは心の中を見透かされたようで、驚いた顔をした。


「・・君はすぐに顔に出るね・・」
クスクスと笑う蓮をキョーコは睨みつけた。


「敦賀さん・・どうやらすっかり元気なようなので、やはり会社に戻らせていただきます。また帰宅時間になりましたらお伺いしますから・・」


ベッドの横に立膝をついていたキョーコは、立ち上がろうとしてベッドに手をつくと蓮がその手を強く引っ張りバランスを崩して倒れ込んだ。


「ちょっと・・つ、敦賀さん・・大丈夫ですか?」
キョーコが蓮の腕の上に倒れ込むと、慌てて体を起こそうとして蓮に引き寄せられた。


「まだ、帰ってほしくないんだけど・・」
強引な腕の中に抱きしめられキョーコは驚いて、その胸を押しのけた。


「もう、すっかり元気じゃないですか!・・からかわないでください」
一段とドキドキとうるさくなった心臓を押さえ、キョーコは寝室を飛び出すように出て行った。


「・・もう・・いったい何なのよ・・」
息苦しい鼓動の原因を考えないようにキョーコは蓮の自宅を勢いよく出て会社へと戻るためにエレベータへ向かった。