風邪もすっかり治り翌日から出社した蓮は、溜まった仕事をこなしながら頭の片隅でキョーコのことを考えていた。
朝から3時間に及ぶ本会議も無事に終わると、さすがに疲れたのか蓮はソファーに身をゆだね大きなため息をついた。
「蓮・・・・お疲れ・・」
「社さん・・休みの間は色々ありがとうございました。お掛けで仕事がスムーズに進みましたよ」
「何言ってんだよ・・お前がいつも一人で頑張りすぎなんだ・・もっといろんな奴に頼めばいいだろう?別に社員を信用してない訳じゃないだろうに・・」
疲れた様子で座る蓮に視線を向けると閉じていた瞳をゆっくり開き、視線を社にうつしてクスリと笑った。
「当り前じゃないですか・・わが社は優秀な人材ばかりだからね・・」
軽くウインクをして社に合図をおくると、社はその行動にあることを思い出し、ため息をついた。
「ところで蓮・・・・」
神妙な顔つきで社が話しはじめると、蓮は身を起こし社の方へ身体を向けた。
「どうかしました?」
ニコニコと笑う蓮の様子に、なぜキョーコは落ちるどころか遠ざけたいと思うのだろうと考えながら先を続ける。
「お前・・キョーコちゃんと何があった?」
「えぇ?・・何が・・と言うと?・・別に何もありませんが?」
驚いた顔をした蓮に、社は呆れた顔をして一歩近づいた。
「そうか、じゃ仕事の合間に考えるんだな・・」
社が真剣な顔でそう言うと、クスクス笑いながら蓮が答えた。
「言われるまでもないですね、昨日から俺の頭から彼女が追いだせなくて・・」
「じゃ、違うことを考えるんだな」
社の様子が変わったことに蓮が驚いて身を乗り出しその瞳を覗き込んだ。
「どういうことです?」
「さっき、いや・・朝一番にキョーコちゃんから正式に言われたよ。・・敦賀さんの担当を外してくださいと・・」
「えっ?」
蓮は思いもよらない発言に胸を押さえるとゴクリと喉を鳴らし、厳しい表情を浮かべた。