『こんにちは、最上さん・・・・俺に頼みごとがあるなら直接連絡くれてもよかったのに・・』
どこか嬉しそうな蓮の声にキョーコはほっとして、直接連絡すればよかったと思うほど、その声はやさしかった。


「あの、拓斗さんに自分の欠点を指摘されて、今のうちに何とかしないと数年後にスランプになると言われて、その・・私自身も実は不安に思うことがあったので、これを機会に・・・・」
まくしたてるような早口で一気に話すと、電話口から落ち着いてと囁かれ、キョーコは大きく深呼吸した。


『で、俺はどうすればいいのかな?』


「あぁ・・あの、無理でしたらきっぱりとお断りしていただいて問題ないのですが・・その・・・・2週間で良いので・・・私と付き合ってもらえないでしょうか・・。」


『付き合うって?・・どういうこと?』


「あ・・は、はい・・その、恋愛経験の少ないのと男性慣れしていないのは、いつか演技をする上で障害になる・・・といわれて、・・・あのよくわからないのですが、拓斗さんが言うには、敦賀さんだったら快く相手をしてくれると言うので・・ぁああの、忙しい方だからそれは無理だって、お伝えしたんですけど・・、大丈夫だから訊くだけ、訊いてみろと言われて・・その今に至っているわけですが・・」


『それはつまり男女交際の付き合うって意味で・・いいのかな?』


「は、はい・・あのでも貴重なお時間をいただくのに、私・・・何もお返しできないのでその2週間の間はもちろんお食事は作らせていただきますが、他にお礼ができないので、その・・敦賀さんが必要なときにはすぐにお伺いますから、その・・・・足りない分は体で払いますから!!!」
いつでも呼んでください、すぐに駆けつけますから と叫ばれて、蓮が硬直するのも無理はない。そんなことにも気が付かず、キョーコは突然訪れえた沈黙に不安になって声をかけた。


「・・あ、あの・・敦賀さん?、やっぱり無理でしょうか?」


『いや、大丈夫だよ・・スケジュールは社さんに代わるね』
口ごもるような声が聞こえ、少し不安になりながらも、大丈夫だと言われたことでいつの間にか止めていた息を吐き出した。


「はい、ありがとうございます。連絡お待ちしています。」