今週の日本株は上昇する見通しだけども、手じまい売りもでてくるだろう。

 

市場の関心は米生産者物価指数(PPI)、米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの経済指標に集まっている。足元では労働市場の緩和を示唆する経済指標を受けて利下げ期待が再び強まってきている。物価指標も下振れとなれば、米国の利下げシナリオが強まって米株高が見込まれ日本株にはポジティブとなる。一方、日銀による追加利上げへの警戒感がくすぶっており、米指標が強い内容になるなどして株価が下落する場合でも、決算シーズン中に発表された自社株買いが今度は実施の局面に入り、下値を支えるとの思惑もある。

 

国内では、日銀の植田和男総裁の講演での発言や日銀会合の主な意見を受けて、追加利上げへの思惑がつきまとう。また、国内企業の24年3月期の決算内容はここまで総じて好調なものが目立っているが、今期業績予想に関しては慎重な数字を出す企業が多く市場ではポジティブサプライズが強いとの見方は少なく株高の起爆剤としての期待は乏しい。株主還元を含めて無難な範囲とされ「株価は方向感が定まらない」との声が聞かれる。

 

一方、米国株式市場では、底堅い米企業決算や年内利下げ期待の復活で、買い戻しの機運が高まっており、5月に入って堅調な上昇を見せた。しかし、その買戻しにも一服感が出ている。投資家は積極的に買い上がろうという意欲にはまだ乏しく、市場が完全に強気に転じるには程遠いと、米大手銀のストラテジストが指摘。ショート解消が進み、S&P500のポジションはほぼロングとなっているが、既存のロングポジションをさらに積み上げることに、投資家はまだ躊躇しているようだという。一方、ナスダック100のフローは弱気に転じているとも指摘。リスク選好の高まりも僅かに過ぎないとも述べている。

 

こうしたなか、来週発表される米インフレ指標が日米株の回復基調が持続できるかどうかの鍵となる。そして、再来週に控える $NVIDIA(NVDA.US)$の決算発表再びAI関連株への投資は活気づくかも注目を集める。CPIは変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.3%上昇と、3月から伸び鈍化が見込まれている。3月は市場予想を上回り、利下げが後ずれするとの見方が株式市場の逆風になっただけに、4月の結果が注目される。モルガン・スタンレーのウィルソン氏は、「マクロ経済が不透明な中、値動きの投資家心理に与える影響がこれまでいかに大きいかを踏まえると、CPIの発表を受けた価格の反応はデータそのものよりも重要かもしれない」と分析。

 

大きな焦点である半導体関連株の来週の動向に関しては $Applied Materials(AMAT.US)$の決算発表が予定されており、その結果も関心を集めるだろう。国内決算では $SoftBank Group(9984.JP)$$Sony Group(6758.JP)$$Mitsubishi UFJ Financial Group(8306.JP)$などが注目される。

 

来週のドル円相場は、米経済指標をにらみながらの展開となりそうだ。米国の材料がクローズアップされて、米長期金利やドル円動向に神経質となる状態が続くと予想される。日銀が9日朝に公表した4月25~26日開催分の金融政策決定会合の主な意見ではタカ派的な文言があったものの、追加の政策修正の規模やタイミングに関するヒントを示した訳ではなく、日米の金利差が依然として大きいことを考えるとドルの下値では押し目買い意欲が強まる構図は変わらないとみられる。

 

こんな中、

 

ダウ、S&P500 は、しっかりした上昇。ナスダックは、まぁ、このくらいの下落はよろしいでしょう。

 

 

 

 

 

米国の雇用が悪化、インフレの継続の相反する指標でどちらにドル円相場は振れるのか?

 

 
 
~今週のまとめ~
 

1.日経平均は3週ぶりに反落、失望決算を発表して急落する銘柄が多い
2.トヨタ営業利益が日本企業初の5兆円超え、今期営業益2割減予想 EV化先行の米中追撃できるか?
3.「バリュー株」が復活?ダウ「7連騰」、今月はS&P 500超えの珍しい上昇率
4.AIブームを象徴する英アームと米パランティア、決算受け株価急落!AIブームに警鐘か?短期的な調整局面の投資の好機か?
5.ソロス一派がエヌビディア株売却 AIは短期的には買われすぎ
6.アップルが人工知能戦略を加速

 

今週の東京株式市場で日経平均は前週末比6.96円(0.02%)安の3万8229.11円と、3週ぶりに反落した。国内企業による24年3月期の決算発表が佳境を迎えるなか、失望決算を発表して急落する銘柄も多く、25年3月期の会社計画には弱さが目立っている。これまで日本株は強気シナリオを織り込みながら水準を切り上げてきただけに、バリュエーション面で割高感が強まっている。4万円台の回復には時間がかかるとの見方が多い。ただ、投資家は弱気一辺倒というわけではない。期待を寄せるのが $NVIDIA(NVDA.US)$が22日に発表を予定する決算だ。「エヌビディアが良好な決算内容となれば、値がさの半導体関連株の影響を大きく受ける日経平均も上昇基調に回帰すると予想する」とT&Dアセットマネジメントの浪岡氏。

 

 

Toyota Motor(7203.JP)$は発表した24年3月期営業利益が日本企業で初めて5兆円を突破し過去最高を更新。ハイブリッド車の販売が好調だったことや円安で利益が押し上げられた。また、同社は大規模な自社株買いも打ち出した。しかし、今期の営業利益は前期比19.7%減の見通しであり、市場のコンセンサスを大きく下回った。人的資本や成長領域への投資増が減益要因になるとみている。トヨタの収益力は中長期的に伸び続けて同業他社を圧倒しており、稼いだ利益をさらなる成長につなげられるかが課題となる。逆風にさらされるEV専業の $Tesla(TSLA.US)$と異なり、HVを含めた多様な選択肢を提供するトヨタは、EV化などで先行する米テスラや中国BYDを追撃できるかどうかが注目される。

 

 

米国市場では、今週に入ってFOMC委員のタカ派な発言もあり、方向感に苦しんでいる。それにもかかわらず、ダウ平均は9日、7連騰を達成し5月以来4.16%上昇し、S&P500の3.54%上昇を上回り、23年12月19日以来の最長連騰を記録した。アナリストによれば、これは、「バリュー株」の好調なパフォーマンスによるものだという。テクニカル分析会社CappThesisのFrank Cappelleri氏によると、S&P500は構成銘柄の時価総額に基づいて加重されているのに対し、ダウは構成銘柄の株価に基づいて加重されている、つまり、株価が高いほど指数への影響も大きくなるという。さらに、構成銘柄の業種も両者の上昇率の差につながっていると指摘。S&P500の30%がテクノロジー株、13%が金融株であるのに対し、ダウに占めるテクノロジー株の割合は19%と比較的小さく、金融株が24%を占めている。そのため、比較的バリエーションの高いテクノロジー株はダウよりもS&P500に大きな影響を与えることになった。

 

 

一方、米株式市場の人工知能(AI)関連銘柄の一部が過度な期待を背景にした「成長痛」に悩まされている。AIブームを象徴する銘柄の一つである $Arm Holdings(ARM.US)$が発表した1-3月期決算は市場予想を大幅に上回ったものの、今年度の売上高見通しが予想を下回り、時間外で一時10%安となった。同社の見通しはAI関連株に織り込まれてきた成長期待が実態に見合っていない可能性を示した。業界のAIへの投資意欲が鈍化しているのではとの懸念も高めているようだ。AIブームを象徴するもう一つ銘柄米 $Palantir(PLTR.US)$が発表した1-3月期決算で売上高が市場予想を大幅に上回り業績予想を上方修正したにもかかわらず、株価が7日、15%超下落した。アナリストは米国での民間からの売上の伸びが急減速した点が指摘している。

 

 

7日に世界三大投資家として知られるジョージ・ソロス氏の右腕として知られたスタンリー・ドラッケンミラー氏がエヌビディア株の持ち高を減らしたとを明らかにした。AIブームで株価が急伸し、短期的に買われすぎたためだという。「AIは長期ではまだ過小評価されているが、短期的にはやや過大評価されている」と指摘。それが日本の半導体関連株の売りにつながった。生成AIの成長曲線を巡る投資家の疑心暗鬼が続いている。エヌビディア22日の決算発表で再びAI関連株への投資は活気づくか。起伏を伴うAIブームに投資家の選球眼と忍耐が試されている。

 

AIに乗り遅れているとの懸念があった $Apple(AAPL.US)$人工知能戦略を加速させている。AIタスクに対応可能な「M4」チップ搭載の新型「iPad Pro」を発表してから2日後、新たな計画が明らかになった。アップルは今年、自社製プロセッサーを搭載したデータセンターを通じてAI機能の一部を提供する。クラウドコンピューティングのサーバーは最先端のAI機能をアップルのデバイス上で利用できるように設計され、高性能チップを搭載するという。よりシンプルなAI関連機能については、iPhoneやiPad、Macで直接処理される見通し。