私は、子供を産むとき不安だった。
いや、結婚する時も。


私の脱毛症が、子供に遺伝したらどうしよう、と。
ちゃんと産んであげられるか。
ちゃんと育ててあげられるか。
すごく不安だった。

考えてはいけない。そう思って、蓋をして見ないようにしていた。
病気の人って、きっとみんなそう思うだろう。
そう、思っていた。



夫は別に気にしていないようだった。
それは、夫が病気じゃないから。
そう、思っていた。



でもそれは違った。
根本的な捉え方が違うのだ。





髪があるとかないとか、夫にとってはどうでも良い。
そんな事を気にして、私と付き合ってはいなかった。


最近になり、やっと理解できた。
それが、夫が発揮する私に対しての思いやりなんだと。
自然に私の尊厳を守ってくれる人。
相手の置かれている状況とか、関係ないのだ。
相手の本質的なところを見てくれている。


そういう個性の人。







私の友人で、先天的な病気で足が悪い人がいる。
初めて会った時は全く気がつかなかった。
多少歩く時に歩き方がゆっくりで、歩きにくいのかな?くらいにしか思わなかった。
でも、本人はとても気にしているようだった。


この人も、尊厳を大事にする人だと思う。
夫とは、種類は違うけど。
どちらかというと、私に近い。おそらく。

この友人の旦那さんは、私の夫と似たタイプなんじゃないかなと思う。


夫婦って、面白いなと思った。


最近知ったのだが、この友人のお子さんが、先天的な疾患がある事を聞いた。
見た目には、全くわからない。
でも自分も五体不満足なのに、同じ事を子供にも背負わせてしまったと、泣いていた。


だけど、このお子さんはすごく可愛くて絵がとても上手な子。
面倒見もよく、うちの子と遊んでくれる。




例えば、あるはずの身体のパーツ、機能、ホルモン…そういうものがない場合、人間の身体ってそれを補おうとほかの器官が発達することは、よくある。

というか、身体ってそういうもの。


視力、聴力、四肢、髪など…。
あるはずのものがないからといって、その人が不幸になるとは限らない。
幸せと、状況や状態は、関係ないのだ。

みんなと違うとか、そういう事では測れない。
不便なことはあるかもしれないけど、イコール不幸ではない。


本人のあり方。本人の望む生き方。
そこだと思うんだよなぁ…大事なのは。
ちゃんと、等身大の自分を見る事ができるかどうか。
自分がどういう状況なのか判断して、考えて選択していけるかどうか。



無い物ねだりほど、時間の無駄はない。




更に、自分を卑下して自分で自分の尊厳を傷つけるとか、他人に尊厳を傷つけられるとか、そういう事ってままある事だと思うけど、そんなの許されていいものではないと思う。

ちゃんと、自然に尊厳を守ってくれる人って、必ずいる。





この前、その友人の子に
「おばちゃん、私って◯◯(先天的な疾患)なの。」

と言われた。
本人は、なんとも思っていないのか、どう思ってその事を言ったのか、その時私はわからなかった。
ただその子のママが、切ない気持ちになったのだけは、わかった。


私は、その子にどう伝えよう?と一瞬迷って、思ってた事が言えなかった。






私の友人とその子に…。

急がなくていいから、ゆっくり私が思っている事を伝えられたら良いなと思う。