この記事は、こちらの記事の続きです。


この記事で、家族が痛風になり、プリン体を多く含む食品を全て排除せんばかりの勢いで質問してきた患者さんのご家族の方がいた事、痛風とは何か、尿酸値が上がる原因などを書きました。



そこで、そもそも尿酸は完全なる悪役なのか?について。

職場の管理栄養士さんに聞いた話。
最近の説では、尿酸は水素を出して活性酸素を捕獲して除去する効果があるのでは?と言われているようです。
活性酸素は、ストレスが溜まると増えます。
つまり、ストレスに対抗するために尿酸を作って身体を防御する生体の防御反応なのでは?という説。

尿酸は、腎臓で再吸収されますが、それは偶然そういう機構を身体が持っているのではなくて、必要があるから再吸収しているのでは、という考え方もあるようです。


男性で中間管理職になると、尿酸値が上がってくる人がいます。
付き合いの酒が増えるのも原因かもしれませんが、ストレスの関与も考えるべきかもしれませんね。
また、高校の野球部の男子で、尿酸値が上がる子もいたと職場の管理栄養士さんに聞きました。
それも、ストレスが原因なのでは?とのこと。
練習がストレスにならない子は、尿酸値は上がらない。

尿酸値が上がっても、血液中や腎臓で尿酸が結晶化せず溶けていれば何の問題もなく、無症状なんです。
血液や尿が酸性に傾くか尿酸値が高すぎて尿酸が結晶化するのが問題。
だから、無症状なら治療を積極的にすべきではないという考えの医師もいるようです。


尿酸値高い→痛風→尿酸値下げなきゃ→プリン体を摂っちゃダメ!!みたいに考えるのは、短絡的。


まず、ストレスが溜まっていないか、飲酒習慣の見直し、甘いものの摂りすぎはないか、食事の内容の見直し。
前回の記事にも書きましたが、アルコールと糖質、炭水化物は尿酸値を上げます。プリン体を含まなくても。

野菜は、プリン体を含んでいても尿をアルカリ化して尿酸の結晶を溶かす方向に働きます。


過度の運動も、ストレスになれば尿酸値は上がる原因になります。

ゆるく運動し、不摂生をやめて、食事のバランスを考える。
これは、痛風治療に限らず、体にとって良いこと。


尿酸値が高いという現象だけに注目せず、身体全体で何が起こっているのかを正確に把握し、引いた視点で見てみると、わかる事がたくさんあります。
尿酸値は下がったけど、他に不具合が出るような望まない結果を導いてしまうのは、本意ではないかなと思います。

体質は一人一人みんな違うので、自分はどうか、自分にとってどうかが重要で、理論を知ってても知らなくても、試してみないとわからない事がたくさんある。


病気と向き合う時、自分がどうしたいか、自分がどうありたいか、そこから考えて必要な事を選択していくと、良いと思います。

医療に携わる人も、患者さんをそういう視点で見てサポートできればと思います。