もう一つの物語り【愛染】288 | シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

あくまでも管理人の妄想の世界です。
ご了承の上お読みくださいませ。

 
 
 
 
夜明け前…
ウンスを腕に抱き微睡んでいると
ウンスがもぞもぞ動くので目覚めた
事が終わり一言も会話を交わさず
ウンスは深い眠りへと落ちて行った
ヨンはもう一度電気ポットで湯を沸かし
ウンスの身体を拭き清めた後眠りについた
もぞもぞ動くウンスの額に口づけると、寝惚けた声で
 
「あん…もう…もう駄目よ…」
 
そう言いながらも身体を寄せてくる
口と行動が合っていない事が可笑しい
そっとウンスの腰を引き寄せようとした瞬間
盛大にウンスのお腹が鳴った、またしても寝惚けた声で
 
「ああ…ラーメン」
 
ヨンは思わず小さく笑ってしまった
 
『ちと無理をさせたか…』
 
そっと布団を抜け出し、電気ポットのスイッチを入れる
昼間は春の気配を感じるが、まだまだ朝晩は冷える
ヨンはエアコンを入れ部屋も温める
夜明け前、一人で湯を沸かし部屋を温め
カップラーメンの蓋を開けている自分が笑えてくる

 

『これが争いのない世界というものか』

 
そう思いふと頭を過ぎるのは、ここと比べれば
色も音も夜の光もない物寂しい高麗の風景
ここほど上手い食べ物がある訳でも
便利な道具がある訳でもない…
そしてあらためて幸せそうに眠る愛しい女人を見る
この女人と離れる事は考えられないが
この世界から引き離す事になるのかと思うと…
チリっとした痛みを覚える、そんな事を考えていると
電気ポットのスイッチが落ちた
カップラーメンに湯を注ぎテーブルに置く
 
布団に近付きウンスを起こそうとするが
いつの間にかヨンの枕を抱きしめて眠っている
何故か少しむかつきその枕を無造作に引き抜いた
いきなり枕を抜かれ驚いて目を開けるウンス
目の前に座っているヨンを見て微笑むと
また目を閉じそうになるがそこで自分のお腹の音に
無理やり目を開けた
 
「お腹…空いた…」
 
「ああ…ラーメン作ったぞ」
 
ウンスは両手をヨンに突き出すと
 
「起こして腰がだるいの…あなたのせいよ」
 
頭を下げウンスの腕にわざと捕まるヨン
背中に手を回しウンスを布団に座らせた
 
「そう言うが、ウンスも喜んでいただろう…
俺だけのせいでもなかろう」
 
その瞬間顔に枕を押し付けられるヨン
 
「もう…もう…何言うのよ意地悪」
 
その枕を取り上げると
真っ赤になったウンスの顔があった
 
「ウンス…」
 
「聞かないわよ」
 
ウンスは両手で耳を塞ぐ
 
「いやだから…」
 
ヨンはそう言うが
 
「聞きえませ~~ん、ぜんぜん聞きえませ~ん」
 
耳を塞いでそう言うウンス
ヨンはニヤッと笑って立ち上がると
カップラーメンに乗った小さなテーブルを
布団の側に運んで来た、ラーメンの香りがウンスの鼻を擽る
耳を塞いでいた手は簡単に外れもう神経はラーメンに集中
テーブルに近付こうとして、全裸な事に気づいた
 
「裸では食えんだろう
俺は教えてやろうとしたのだぞ」

 

そう言ってまた小さく笑うヨン

 
ウンスは急いで下着とスエットを身につける
 
「あ…あのありがとう…」
 
ウンスはここで身体が拭かれ
新しい下着が用意されていた事に気づいた
 
「良いのだ…俺のせいだからなクックックッ
それより早く食べないと伸びるぞクックックッ」
 
ウンスは少し口を尖らせ
 
「本当に意地悪なんだから」
 
そう言いながらもその手は箸を握っていた
その後空腹だった二人は無言でラーメンを完食した