花耶乃、踊った、の巻。 | 真理ジャーナル~c´est la vie~

花耶乃、踊った、の巻。

3月4日、無事に日本舞踊正派若柳流「美乃会」を終える事が出来ました。

ブログでのご報告、随分遅くなってしまいごめんなさい!観に来て下さった方々一人一人にお礼状を送らせて頂いたり、クリーニング出したり膨大な荷物を片付けしたり、、、をちまちまやっていたら終わるのに時間がかかってしまいました。
もうすでに次の演目の稽古に進んでいるというのに、、、。

と、言う事で、無事に名取披露の舞台
常磐津「松の名所」と義太夫「櫓のお七」を踊り切る事が出来ました。

同門のお二方と、第2部の幕開きで「松の名所」を踊れたこと、とても嬉しかったです。全ての舞台は一期一会ですが、三人で一緒にこの演目を踊る事ができて、とても心強かったですし、いつまで経っても「あの時三人で踊ったよね」と思い出す事ができる舞台だったと思います。すでに三人で時間を合わせて力を合わせ、呼吸を合わせて名取披露の舞台に向けて稽古をして行った時間が懐かしいです。

そして、義太夫「櫓のお七」。
本番前の最後の稽古で、「あぁ、お七が演じられるのは後2回なんだ」と思ったらとても淋しくなってしまいました。だってずっと憧れてきて、1年以上も前から稽古して、義太夫のお勉強とかもして、お七がちょっとだけ分かってきたかな、と思ったらお別れなんて、すごく悲しくなったんです。人形振りという、やった事のない特殊な動きを音に当てて行くのに最初は苦労して、そして人形振りになる前のお七の極限状態を表現する事が本当に難しくて、稽古では沢山怒られました(←これはいつもの事なんですが、、、)。「もう出来ないよー」と逃げ出したくもなりました(←これもいつもの事ですね、、、汗)。

どれだけ内側に「お七」を蓄えられるか。表情を作ったり何かを見せようとするのでは無くて、自分なりの「お七」を私の腹の中に入れておけるか。本当に難しかったです。どんな役も簡単と思った事など無いのですが、特に「櫓のお七」は芝居の部分が多いですし、義太夫節の語りと一緒になって物語が進む踊りですので、「役を踊る」と言うことについてとても考えました。義太夫節が始めての私には(色々始めてづくしではありますが)つぼ合わせ、下ざらい、と稽古が進むにつれて稽古場では分からなかった事が分かる部分が多々あり、一つ一つが貴重な体験でした。なにより、人間国宝の竹本駒之助師匠に語って頂くという機会は本当に貴重で宝物のような時間でした。お七を、駒之助師匠の語りで踊らせて頂く、と決まってから何度か観に伺った師匠の素義太夫の舞台。観れば観るほど「なんて迫力と体力!」と圧倒されて、素舞台の上で金色に輝くオーラの塊みたいな師匠にお七を語って頂くのか、と思うと「ははぁー」とひれ伏したい気持ちにもなりました🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️
夢のような舞台でした。

後見の先生方も暖かく丁寧に見守ってくださり、私は全然怖くなかったですし、「いざとなったらなんとかしてくれるだろう」と思えるくらい😅、安心感がありました。ほんとに、なんとかして下さいました。こんなに信頼できて人を安心させられるって、改めて凄いなぁ、と思いました。

どんな舞台でもそうなのですが、1人ではできません。特にお七は沢山の方々の協力を得ないとできない演目です。駒之助師匠を始め義太夫連中の方々、黒御簾の鳴り物の方々、後見の先生方、櫓を建てて下さった大道具の方々、小道具の方々、つけ打ちや舞台袖から階段の紐をぐいっと引っ張って下さったり、雪を降らせて下さったり、沢山のスタッフの方々が見守って下さいました。そして、お七が人間から人形に変わる時に消し毛氈を広げて下さった、同門の広乃進さんと、手拭いを撒いて下さった寿々乃さん、ご自身の踊りもありながら、お七の舞台を助けてくださいました。本当にありがとうございました。私も、次に名取披露をする方がいたら全力で協力できたら、と思います。

大作を踊ったから、と言う訳では無いのですが、どれだけ憧れていてもやってみないと見えない世界があるな、と思ったし、それを見る事ができたから、ますます自分の出来ない所も見えた訳で、、、。
まだまだひよっこである事を実感した舞台でもありました。
でも、ここまで来るのには、やっぱり一つ一つクリアして行かなくてはならないハードルがあり、ここまで頑張って稽古に通い続け、できる限り舞台に立たせて頂き経験を積めた事、少しだけ自分を褒めてあげたいと思います。
イギリス帰りですぐに文学座の研究所に入り、全然馴染めず訳分からず右往左往していた20歳の頃、「日本人役者たる者日本の伝統を身につけなきゃいかんだろ!」と言う熱い気持ちだけで始めた私が、ここまで来る事が出来たんですもの。
美乃&薫子先生のおかげです。ほんと。

沢山のお客さまにも来て頂き嬉しかったです。た〜くさん褒めてもらったので、数日間は真に受けて(笑)心地よい気持ちを味あわせて頂きました。ありがとうございました🙇‍♀️ そしてまたビデオを観て反省、んで新しい演目に入って「なんじゃこりゃ、なんでこんな事も出来ないのかしら😭😭😭」の日々に戻っている訳であります。

細々とではあっても、できる限りずっと、美乃&薫子両先生に付いて行きたいなと思います。


そう言えば、2年前の今日3月27日は名取試験に合格した日でした〜!!!試験に向けた稽古の日々も今では懐かしい。


最後に、終わった後に駒之助師匠との夢のツーショットを。楽屋の美乃先生の暖簾の前で。(乃を隠してしまっとりますが^^;)

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ありがとうございました。

吉田真理(若柳花耶乃)