昨年2月頃だったと思います。

 

茨城県は2020年から2022年にかけて公立中高一貫校を10校増設することを発表しました。

 

注目すべきことは、この10校に県立トップ校(水戸第一、土浦第一)が含まれていたことであり、これまで中学受験とは無縁であった県内の成績トップ層に大きな衝撃を与えました。

 

中学併設(募集人数80名)によって、数年後には高校の募集枠が半減(320名→160名)し、高校受験生が不利になるからです。

 

その影響は受験生だけではなく併願校にも及ぶと予想されます。

 

現在、土浦第一の主な併願私立校は、常総学院と土浦日大です。

 

両校は特進コースを設置し、県立トップ高志願者の受け皿となっていますが、公立中高一貫校が増えると、県内の成績トップ層が中学受験にシフトし、併願私立校にも少なからず影響が出るものと思います。

 

すでに、常総学院中と土浦日大中等では、中学入試で適性検査型入試を行い、この動きに対応しています。一般入試は私立中との併願を想定しているのに対し、適性検査は公立中高一貫校との併願を想定しています。

 

で、奇妙なのはここからで、


延納手続きの扱いが、「一般入試」と「適性検査」の合格者で異なっているのです。

 

 ■一般入試の合格者 : 延納手続き(延納金) → 必要
 ■適性検査の合格者 : 延納手続き(延納金) → 不要

 

この対応の違いは一体どういうことなのだろう。

 

入試を行う学校側は延納手続きによって入学者数の見通しをつけていますが、適性検査入試の合格者の延納手続きを不要としている理由とは?

 

その背景には、茨城では公立志向が圧倒的に強く、公立中高一貫校(例えば、並木中等教育学校)が不合格であれば、地元公立中に進学し、公立トップ高を目指す人がほとんどという事情があるのだ。

 

私立の適性検査入試は公立中高一貫校の予行練習として受験する人がほとんどで、一般入試と比べて入学手続き率が極端に低いのだろう。

 

この奇妙な対応から、適性検査入試の合格者を優遇し、入学者を少しでも増やそうとしていることが読み取れます。

 

現在、都立中高一貫校では、高校募集を取りやめて、併設型中高一貫教育校から完全中高一貫校(中等教育学校)へ移行する中、茨城では県立トップ校を併設型中高一貫教育校にしていくことになります。

 

今後、公立中高一貫校に入学できなかった生徒が、これまで通り地元公立中に進学し、公立トップ高を目指す傾向が続くのか、都内のように中高一貫校には中学から入ってこそ意味があると考える人が増えて、私立人気が高まるのか、茨城は来年が分岐点になります。