さて、今回は都内女子校の入試状況を分析してみます。
中学入試と高校入試ではどう違うのか。。。
まずは、前回の記事(都内男子校編)と同様に、中学・高校入試における募集人数を、学校タイプ別に分類しました。
女子校の募集人数は、中学入試では9,422名(37%)であるのに対し、高校入試では8,071名(21%)です。
男子校ほどではありませんが、女子校においても、高校入試の方が募集人数が少なくなっていることがわかります。
高校入試では共学校が70%以上であり、また都立高校(募集人数:39,250名)は全て共学であることから、現在、高校から男子校・女子校に進学する人は、もはや約15%に過ぎません。
女子校の高校募集8,071名の内訳を見てみると、中高一貫校が5,606名、中高一貫校以外が2,465名であり、中高一貫校の割合は69%です。
これを、前回掲載した男子校の円グラフと並べてみます。
興味深いことに、男子校のケース(70%)とほぼ一致していることがわかります。
平成に入って以降、都内では中高一貫教育を行う学校が増えていき、高校募集のみを行う学校は、男子校、女子校ともにだいぶ少なくなりました。
次に、中高一貫校の募集人数5,606名を、中学入試の合不合80%偏差値で分類してみました。
以下の円グラフ(左)を見ていただければわかりますが、
高校入試を行う中高一貫校の中に、合不合偏差値50以上の学校はたった2校しか含まれていません。
(そのうちの1校である、豊島岡女子は2022年度入試から高校募集を停止することを発表しています......。)
これは衝撃的なデータです・・・
このことは、以前にも書いているので、興味ある方はこちらの過去記事もご参照ください。
記事はコチラ → 完全中高一貫化率は95%!
また、今回分析して初めて気づいたことがあります。
それは、高校入試を行う中高一貫校は、中学入試の合不合偏差値表にデータのない学校が大多数であるということ。
その割合は66%(募集人数ベース)にもなります。
ただ、偏差値不明では入試実態がわかりにくいので、中堅校の合否予測に定評のある首都圏模試偏差値を用いて、改めて分類し直しました。
上の円グラフ(右)をご覧ください。
また以下に詳しい数字を示しますが、高校入試を行う中高一貫校の約90%(募集人数ベース)が首都圏模試偏差値45未満という事実がわかりました。
【首都圏模試偏差値】
70~79・・・3%
60~69・・・0%
50~59・・・4%
45~49・・・4%
40~44・・・47%
35~39・・・42%
これもまた驚きの事実です・・・
最後に、高校入試を実施しないいわゆる"完全中高一貫校"の合不合偏差値を見てみます(円グラフの左)。
高校入試を実施している中高一貫校の合不合偏差値データ(円グラフの右)と比較してみましょう。
高校入試を実施しない完全中高一貫校と、高校入試を実施する中高一貫校では、合不合の偏差値帯が全く異なることが視覚的に一目瞭然ですね。
もはや、完全中高一貫校が、中学入試における成績上位層~中位層までほぼ独占し、6ヵ年中高一貫教育を行っている状況といえるのではないでしょうか。
このように、都内私立女子校は、完全中高一貫化がかなり進んだ結果、中学入試と高校入試は全く異なる世界になっているのです